生産情報に基づく水稲の適正窒素施肥量の設定法


[要約] [キーワード] [担当]上川農試・技術普及部・技術体系化チーム、中央農試・生産システム部・水田農業科
[連絡先]電話0166-85-2200
[区分]北海道農業・生産環境
[分類]技術・参考



[背景・ねらい] [成果の内容・特徴]
  1. 白米タンパク含有率Prと窒素玄米生産効率X(玄米収量Yi/成熟期窒素吸収量N)間には負の高い相関があり(r=-0.846、n=221)、両者の関係は回帰式Pr=11.8-0.09Xで示すことができる(図1)。この関係は年次、地域、土壌、施肥法の影響が小さく、安定して成立する(表1)。
  2. 成熟期窒素吸収量は、白米タンパク含有率と窒素玄米生産効率間に成立する回帰式から得られる推定式(N=0.09×Yi/(11.8-Pr))より求めることができ、その推定値は実測値とほぼ対応する(図2)。
  3. 施肥窒素利用率は窒素施肥区および無施肥区を設置し、両区の生産情報(玄米収量、白米タンパク含有率)から前記2.に示す方法で成熟期窒素吸収量を求め、その差を窒素施肥量で除することにより求めることができる。
  4. 以上より、簡便に生産目標に対応できる窒素施肥適正化技術として、生産情報に基づく水稲の適正窒素施肥量の設定方法を図3に示す。設定は以下の手順で行う。
    1)玄米収量、白米タンパク含有率の生産実績値取得、生産目標値設定。
    2)生産実績値および生産目標値に対応する成熟期窒素吸収量を求める。
    3)成熟期窒素吸収量の差を、施肥窒素利用率で除すことにより増減すべき窒素施肥量を求める。
    4)生産目標に対応する窒素施肥量は、施肥実績値と増減すべき窒素施肥量の和となる。
[成果の活用面・留意点]
  1. 土壌診断値をもたない生産者の窒素施肥対応時の参考とする。
  2. 生産実績は「平年」の値を用いる。生産目標値は地域・生産者の実績、技術水準を考慮し過大な設定をしない。
  3. 施肥窒素利用率は推定値が得られない場合、既往値(全層施肥平均:40%程度、側条施肥平均45%程度)を参考とする。
  4. 生産目標に応じ適正な基本技術(初期生育促進及び登熟向上技術)を導入する。
  5. 主に水稲品種「きらら397」を供試した成績である。

    平成17年度北海道農業試験会議(成績会議)における課題名および区分
     生産情報に基づく水稲の成熟期窒素吸収量推定と施肥設計への応用(指導参考)
[具体的データ] [その他]
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