道北転換畑大豆における根粒着生不良要因と窒素追肥技術
[要約]
水田転換大豆の低収の主要因は根粒着生不良であり、それは土着根粒菌密度が低いことと透水性不良に起因する。道北転換畑では根粒着生の判定時期を開花期とし、根粒数が10個/個体未満の場合、開花期に窒素10kg/10aを追肥する。
[キーワード]
[担当]上川農試・研究部・栽培環境科、畑作園芸科
[連絡先]電話0166-85-2200
[区分]北海道農業・生産環境
[分類]技術・参考
[背景・ねらい]
道北地域では転換畑を中心に大豆が栽培されているが、一部の圃場で収量が低迷している。低収の要因として根粒着生不良が考えられる。
そこで、道北転換畑における根粒着生不良要因を解明するとともに、根粒着生不良大豆に対する追肥判定法を確立し、大豆の安定生産に寄与する。
[成果の内容・特徴]
- 道北転換大豆の低収は、根粒着生不良が大きな要因となっている(図1)。転換大豆における根粒着生不良要因として、土着根粒菌密度が低いことと透水性不良が関係する。大豆作付前歴がなく、土着根粒菌密度が低い圃場では根粒重が低い傾向がある。また、大豆作付前歴がある場合でも透水係数が低い圃場では根粒重が低い(図2)。
- 道北地域では根粒形成期に根粒が認められなくても開花期に根粒が着生する場合があるため、根粒着生の判断時期は開花期が適切である(図3)。
- 窒素追肥試験において開花期根粒重が0.2g/株以上では子実重は300kg/10aを超えることが多い(図1)。
- 開花期窒素追肥量は5kg/10aよりも10kg/10aで子実増収量が大きく、無追肥区収量が高くなるにともない追肥による増収量は小さくなる。
- 開花期根粒重0.2g/株未満の圃場では窒素10kg/10a追肥により顕著に増収する。しかし、0.2g/株以上では追肥による増収効果は低い(図4)。
- 1株当たりの根粒重が0.2gの場合、1株当たり根粒数は20個(1個体当たり根粒数10個)相当であることから、道北転換大豆に対する追肥の要否判定基準を表1に示す。
[成果の活用面・留意点]
- 本成果は道北地域の転換畑で活用する。なお、転換畑では排水対策、pH矯正などの基本技術を励行する。
- 本試験は品種「トヨコマチ」を用いた。
- 本試験は上川中部、北部地域のダイズシストセンチュウの被害がない圃場で実施した。
平成17年度北海道農業試験会議(成績会議)における課題名および区分
「道北転換畑大豆における根粒着生不良要因と窒素追肥技術」(指導参考)
[具体的データ]
[その他]
(1)大豆の安定多収技術の開発と品質制御技術の強化
(2)道北の水田転換畑における根粒着生不良要因の解明と対策
予算区分:国費受託
研究期間:2001〜2005年度
研究担当者:坂口雅己、佐藤三佳子、神野裕信、櫻井道彦
発表論文等:1)櫻井ら(2003)日本土壌肥料学会講演要旨集49:P233
2)櫻井ら(2004)日本土壌肥料学会講演要旨集50:P142
3)坂口ら(2005)日本土壌肥料学会北海道支部講演要旨集.P6
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