寒締めホウレンソウの栽培支援に有効な地温-生育モデル


[要約] [キーワード] [担当]北海道農研・生産環境部・気象資源評価研究室
[連絡先]電話011-857-9234
[区分]北海道農業・生産環境、共通基盤・農業気象
[分類]技術・参考



[背景・ねらい] [成果の内容・特徴]
  1. 開発したモデルは、生体重の初期値と日平均地温(10cm深)を入力とし、日々の生体重の推移を複利的に計算する(式(1))。
    FWn = FWn-1 × (1 + RGRn-1 )  (1)
    (ここで、FWは生体重、添字のnはn日目の値、RGRは生体重の相対生長率を示す。)
    モデルで用いた相対生長率の式は5つの係数(パラメータ)を持ち、地温に対しS字曲線、生体重自身に対して傾きが負の直線である(式(2))。
       RGRn = a × (b - FWn ) / (1 + exp(c × (d - Tn ))) - e  (2)
    (ここで、Tnn日目の日平均地温、a,b,c,d,eは係数。)
  2. このモデルは、東北地方南部から北海道道央にかけての幅広い地域(福島県郡山市、秋田県秋田市、岩手県軽米町、北海道札幌市)のホウレンソウ(品種:まほろば)の生育を高い精度で再現できる(図1:4地点とも同一のパラメータを使用)。
  3. モデルを用いた生育シミュレーション(図2)は、作期の策定や栽培管理の意志決定支援等として次のように利用できる。
    (1)作期の策定:播種日を移動しながらシミュレーションを繰り返すことにより、播種日と収穫サイズ到達日の関係が得られる。この計算を30年分の気象データを使用して行うと、収穫サイズ到達の平均日・最早日・最晩日(図3)、あるいは寒締めの可否の発生頻度などを求められる。この結果から、目的とする日に収穫サイズに到達するための適播種日を策定できる。
    (2)栽培管理の意志決定支援:初期値に今日現在の生体重を入力する。今後の温度管理により想定される地温(換気側窓の開閉やべたがけ利用などにより複数設定できる)を入力してシミュレーションした結果から、目的とする収穫サイズ到達日を達成するのに適切な温度管理を選択できる。
[成果の活用面・留意点]
  1. モデルは簡単な数式であることから、ワークシート等への組み込みが容易であり、生産者個人のパソコン上での多様な利用が可能である。
  2. 本モデルに入力する日平均地温と生体重の初期値は、別途、推定や実測が必要である。
  3. 現在、モデルの係数はホウレンソウ品種「まほろば」でのみ利用可能である。
[具体的データ] [その他]
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