道産・輸入野菜(ブロッコリー、ネギ、タマネギ)の品質比較
[要約]
道産品(ブロッコリー、ネギ、タマネギ)の外観品質は優れており、価格は輸入品より高い。しかし、内部成分に道産品の産地間差が見られたこともあり、今後この要因を解析し、品質向上につなげる必要がある。
[キーワード]
[担当]道立花・野菜技セ・研究部・園芸環境科、道立道南農試・研究部・園芸環境科、道立北見農試・作物研究部・畑作園芸科、道立中央農試・農産工学部・品質評価科
[連絡先]電話0125-28-2800
[区分]北海道農業・農産利用
[分類]技術・参考
[背景・ねらい]
道産品(ブロッコリー、ネギ、タマネギ)と輸入品・府県産の品質・鮮度などについて調査を行い、道産品の優位性および問題点について検討する。
[成果の内容・特徴]
- 輸入品ブロッコリーは葉柄や切り口の黒変色などの外観品質が劣り、道産品は各時期とも外観・鮮度的にも良好であり、価格は輸入品より約2倍高く、府県産より高めである。輸入品の花蕾のNa含量は道産に比べて平均で約5倍ほど高く、花蕾のNa含量の測定は産地判別法の有効な手法である(表1)。
- 五訂食品成分表のブロッコリーのアスコルビン酸は120mg/100gであるが、国産・輸入を含めて6〜10月の平均値は80mg/100gを下回っており、7〜9月における小売りでの道産品の目標基準値は80mg/100g以上と考えられる(図1)。
- 生および水煮後のブロッコリー花茎の道産品の最大荷重は輸入品に比べて低く、柔らかい(表2)。そのため、道産品は短時間の調理で済むことを意味し、加熱による栄養成分の損失が少ないと考えらる。
- 輸送中の劣化と思われるネギ葉身部の黄変は、9・10月に多く見られる(図2)。要因には乾物率や糖の低下等が考えられるが、内部成分との関連は判然としない。内部成分では産地間差よりも季節変動が大きく、分析値により品質の優劣を判断するのは困難である。
- 8月に出荷の道産タマネギは、府県産と比べて外皮色は薄いが、辛みは府県産並に少なく、抗酸化活性値などの機能性を含めた内部品質では輸入品・府県産より優れている(表3)。
- 道産タマネギの出荷盛期にあたる10月〜12月では、輸入・府県産と比べ障害球の混入が少なく、市場性は高い。辛みの指標であるピルビン酸生成量は、同じ時期の府県産と比べて道産品は同程度である(表3)。
- 3月出荷は長期貯蔵品となるが、市場では道産品がほとんどを占有するため価格は高い。3月出荷を含めて、10月以降の道産タマネギは肉質が硬く辛味は強いが、乾物率・Brix値が高く、ピルビン酸生成量および抗酸化活性も高い(表3)。
[成果の活用面・留意点]
- 東京都中央卸売市場大田市場で入手した野菜を用いて実施
- 道産野菜の高品質安定化に向けた取り組みに活用
平成17年度北海道農業試験会議(成績会議)における課題名および区分
「 道産・輸入野菜の品質比較 」(指導参考)
[具体的データ]
[その他]
国産・輸入野菜品質分析調査
予算区分:道費(補助)
研究期間:2002〜2004年度
研究担当者:長尾明宣、阿部珠代、相馬ちひろ、野田智昭
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