ばれいしょ加工時のアクリルアミド生成に関わる要因


[要約] [キーワード] [担当]北海道農研・畑作研究部・品質制御研究チーム、ばれいしょ育種研究室
[連絡先]電話0155-62-9278
[区分]北海道農業・農産利用
[分類]科学・参考



[背景・ねらい] [成果の内容・特徴]
  1. 加工用品種「トヨシロ」「スノーデン」「らんらんチップ」、および生食用品種「男爵薯」「インカのめざめ」のいずれにおいても、生イモ中の還元糖量、チップ中のアクリルアミド量が顕著に増加する貯蔵温度域は8℃未満である(図1)。
  2. チップ中のアクリルアミド量は、生イモ中の各成分のうち、還元糖量の変化とよく対応して変化し、両者には有意な相関がある(決定係数R2はフラクトース0.687(図2)、グルコース0.699、スクロース0.240 (n = 387))。一方、遊離アミノ酸は、有意な相関が見られない(アスパラギン(図2)、グルタミン酸、グルタミン)か、低い相関(アスパラギン酸)である。これらから、アクリルアミド生成に最も強く関与する生イモ中成分は還元糖である。
  3. チップカラーL*(明度)はアクリルアミド量と高い相関がある(R2 = 0.871, P < 0.001)。8℃未満の温度域での貯蔵塊茎から加工されたチップは、いずれの品種においてもL* < 54と低く、色相は暗褐色を呈する(図3)。これらから、従来のカラーでのチップ加工用系統の選抜法が、アクリルアミド低生成型系統の選抜においても有効であること、また、メーカーにおけるチップ製造ラインでの不良カラーチップの除去が、製品への高アクリルアミド含有チップの混入を防ぐ上で有効である。
[成果の活用面・留意点]
  1. これらの成果を、加工用ばれいしょの育種開発の基礎知見、チップ加工時の原料管理の基礎知見とする。
  2. チップ加工は、当部ばれいしょ育種研究室の標準調理検定法により作成した。
  3. 8℃未満の温度域での貯蔵試験はアクリルアミド生成の要因成分を解明するための手法であり、この温度域で貯蔵された塊茎は、通常チップ加工に用いられることはない。
[具体的データ] [その他]
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