規格別出荷に対応したながいも栽培技術
[要約]
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ながいもの規格内収量を4000kg/10a程度確保した上で、3L規格以上収量は種いも重量増加により、2L〜L規格収量は密植により増加できる。窒素施肥量はいずれの場合も規格内収量を確保し、土壌中残存窒素量低減の観点から20kg/10aが適当である。
[キーワード]
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ながいも、規格内収量、土壌中無機態窒素残存量
[担当]道立十勝農試・技術体系化チーム、作物研究部・畑作園芸科
[代表連絡先]電話0155-62-2431
[区分]北海道農業・水田・園芸作
[分類]技術・普及
[背景・ねらい]
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安定的な供給を求められる北海道産ながいもの輸出用規格(3L以上)及び国内市場向け規格(2L,L)の収量向上に適した窒素施肥量、種いもの大きさ及び栽植密度を収量、品質、施肥窒素による環境負荷への影響の面から明らかにする。
[成果の内容・特徴]
- 窒素用量試験の結果、窒素20及び25kg/10a区の規格内収量(S以上)は、15kg/10aに比べて高まる場合が多く、かつ4000kg/10aを確保できるが、30kg/10a施用では頭打ちあるいは低下する(図1)。
- ながいもの内部品質として重要な乾物率は、窒素30kg/10a区では低下する傾向がある(図1)。
- 窒素5kg/10aの増肥に対して、ながいもの窒素吸収量の増加は2kg/10a程度に止まり、見かけの施肥窒素の利用効率は低下する。そのため、施肥窒素量が多いと、跡地土壌の無機態窒素残存量も高まる。この量は窒素施用量の増加に伴い多くなる傾向にあり、地下水への硝酸性窒素汚染リスクが危惧される(図1)。
- 上記1〜3の結果から、窒素施用量は20kg/10aが適当である。
- 施肥窒素20kg/10aの条件で、種いもを標準の100gから150gへと大きくすることにより、いも径及び重さが共に増大し、3L規格以上の収量が高まる(図2)。
- 窒素施肥量20kg/10aの条件で、標準の100g種いもを用いて、畦間を変えずに、株間を24cmから18cmに狭める密植(裁植密度6,170本/10a)を行うと、2L〜L規格および規格内収量が増加する(図3)。
[成果の活用面・留意点]
- 本成果は、規格内収量4000kg/10aを目標とする際の目安として用いる。
- 本成果は、十勝中央部の窒素地力の比較的低い(熱水抽出性窒素1〜6mg)火山性土において得られたものである。
平成19年度北海道農業試験会議(成績会議)における課題名及び区分
「規格別出荷に対応したながいもの栽培技術」(指導参考)
[具体的データ]
[その他]
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研究課題名:施肥標準に基づいた輸出用大規格ながいもの生産技術組み立て実証
予算区分:農政部事業(輸出向け野菜づくり推進事業)
研究期間:2005〜2007年度
研究担当者:竹中秀行、鳥越昌隆、竹内晴信、田縁勝洋、中津智史、白旗雅樹
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