外観品質が優れる赤肉メロン新品種候補「空知交16号」
[要約]
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「空知交16号」はネットの盛上りが「ルピアレッド」より良く、アールス系メロンに近い外観品質を有する。草姿はコンパクトであり栽培管理が行いやすい。うどんこ病に耐病性を有する。
[キーワード]
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育種、赤肉メロン、外観品質、省力性
[担当]道立花野技セ・研究部・野菜科、(株)大学農園
[代表連絡先]電話0125-28-2800
[区分]北海道農業・水田・園芸作
[分類]技術・普及
[背景・ねらい]
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北海道の赤肉メロン品種は栽培が容易で市場評価が安定している「ルピアレッド」が主体となっているが、他産地との差別化を図るために特徴ある新品種の育成が求められている。栽培が容易で果実の外観や内部品質に優れた新品種の育成を目指す。
[成果の内容・特徴]
- 「空知交16号」は花・野菜技術センターと共同研究相手先である株式会社大学農園が共同で育成した赤肉固定系統「DHM-R2」を種子親とし、大学農園が育成した緑肉固定系統「Dkg」を花粉親として育成された単交配一代雑種(F1)である。
- 早晩性は中生に属する(表1)。つる長、葉身長及び葉柄長は「ルピアレッド」とほぼ同等で、草姿はコンパクトであるため、整枝作業が行いやすい。
- 果形はほぼ正球で、果皮色は濃緑−淡緑、ネットは太さ及び盛上りが「ルピアレッド」より優るため、果実外観品質は優る(表1、写真)。
- 糖度は「ルピアレッド」と同等で、赤肉臭は少ない(表1)。果肉はやや硬いが、食味は同等である。
- うどんこ病に耐病性を有する(表1)。つる割病(レース0およびレース2)に抵抗性を有するが、つる割病(レース1,2y)およびえそ斑点病には抵抗性が無い。
[成果の活用面・留意点]
- 普及対象地域は全道のメロン栽培地域である。適応作型である無加温半促成作型において、ネットの特徴を活かして差別化を目指す産地への導入が期待できる。普及面積は20haを見込んでいる。
- 収穫直前まで土壌水分が多い場合、あるいは過剰に果皮が硬化する管理(ハウス内の低温や乾燥)を行った場合は裂果が発生する恐れがあるため、栽培管理に注意する。
- 果形はほぼ正球であるが、温度・灌水管理によってはやや扁平になる場合がある。そのため、開花から縦ネット形成期はやや高温・多灌水気味に管理し、果実縦肥大の促進に努めるとともに、横ネット形成期以降の高温・多灌水管理は避ける。
- ハウス抑制作型ではハウス内が高温になりやすく、扁平果や裂果の発生が懸念されるため、栽培には適さない。
- 加温半促成及びトンネル早熟作型は未検討である。
平成19年度北海道農業試験会議(成績会議)における課題名および区分
「赤肉メロン新品種候補「空知交16号」」(普及推進)
[具体的データ]
[その他]
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研究課題名:「メロン赤肉品種の早期開発試験(U)」、「クリーン、省力栽培に適した赤肉メロン品種の育成」
予算区分:共同
研究期間:1997〜2007年度
研究担当者:八木亮治、平井 剛、地子 立、中住晴彦、堀内優貴、中野雅章、田中静幸、佐藤昌一(大学農園)、佐藤善藏(大学農園)、佐藤公治(大学農園)
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