メロンえそ斑点病及びつる割病(レース1,2y)抵抗性台木新品種候補「空知台交6号」
[要約]
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「空知台交6号」はえそ斑点病に対しては質的抵抗性を有し、つる割病(レース1,2y)に対しては、「どうだい4号」より強い量的抵抗性を有する。また、幼苗期に胚軸が徒長しづらいため接ぎ木作業を行いやすい。
[キーワード]
- 育種、メロン、えそ斑点病、つる割病(レース1,2y)、抵抗性台木
[担当]道立花野技セ・研究部・野菜科
[代表連絡先]電話0125-28-2800
[区分]北海道農業・水田・園芸作
[分類]技術・普及
[背景・ねらい]
- メロンの重要土壌病害であるえそ斑点病及びつる割れ病(レース1.2y)(以下レース1,2y)対策として、両病害複合抵抗性既存台木品種のレース1,2y抵抗性の向上と接ぎ木作業性の改善を目指す。
[成果の内容・特徴]
- 以下の特性は、草勢の強い「サッポロキングER」及び草勢のやや弱い「ルピアレッド」を穂木品種、えそ斑点病及びレース1,2y抵抗性台木で北海道優良品種「どうだい4号」を標準台木品種、これら両病害抵抗性台木で民間育成である「ダブルガード」及び「ワンツーシャット」を比較台木品種とし、さらに各穂木品種の自根栽培を含めて評価したものである。
- えそ斑点病に対して標準台木品種と同様に質的(真性)抵抗性を有する(表1)。レース1,2yに対する抵抗性は「どうだい4号」より強く、比較台木品種と同等であり、甚発生圃場を除き一般の発生圃場では十分な実用性を有する(表2)。つる割病(レース0、レース2)に対して質的(真性)抵抗性を有する(表3)。
- 幼苗期の胚軸長及び胚軸径は標準台木品種と同等であるため、接ぎ木作業性は同等である(表3)。比較台木品種に比べ徒長しづらく、接ぎ木作業性がやや優る。
- 穂木品種の草勢は標準台木品種、「ワンツーシャット」及び自根と同等であり、「ダブルガード」よりやや優る(表3)。
- ネット形質は標準・比較台木品種及び自根と同等である。糖度(Brix)は標準台木品種、「ワンツーシャット」及び自根と同等、「ダブルガード」よりやや優る(表3)。
- 収量性は標準台木品種、「ワンツーシャット」及び自根と同等である。「ダブルガード」にはやや優る傾向である(表3)。
[成果の活用面・留意点]
- えそ斑点病、レース1,2yの発生が確認された圃場及び発生の恐れがある圃場において使用する。普及面積は80haを見込んでいる
- 従来の抵抗性台木でも発病する圃場では、土壌還元消毒や輪作を行って菌密度を下げた後に「空知台交6号」を用いる。
- 低温伸長性は「どうだい4号」よりやや劣るため、道北地域では無加温半促成作型のうち、4月上〜中旬定植の栽培を避ける。
- 無加温半促成作型における成績であり、加温半促成作型、トンネル早熟作型及びハウス抑制作型については未検討である。
- 接ぎ木をしても穂木に抵抗性が移行するわけではないので、穂木からの不定根の発生や接触伝染による罹病に注意する。
平成19年度北海道農業試験会議(成績会議)における課題名および区分
「メロンえそ斑点病及びつる割病(レース1,2y)抵抗性台木新品種候補「空知台交6号」」(普及奨励)
[具体的データ]
[その他]
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研究課題名:「メロンえそ斑点病の総合防除対策」、「メロン土壌病害抵抗性台木新品種の育成」
予算区分:道費
研究期間:2003〜2007年度
研究担当者:八木亮治、地子 立、平井 剛、中野雅章、田中静幸
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