歩数計による乳牛の発情検出法の条件別の最適設定


[要約]

[キーワード]

[担当]北海道農研・集約放牧研究チーム
[代表連絡先]電話011-857-9260、電子メールseika-narch@naro.affrc.go.jp
[区分]北海道農業・畜産草地、畜産草地
[分類]技術・参考


[背景・ねらい]

[成果の内容・特徴]

  1. 首および後肢に装着された歩数計による計測値と、目視による実測歩数との関係を、昼夜(定置)放牧またはパドック飼養条件下の育成牛で見ると、後肢では飼養条件にかかわらず実測値と高い相関を示すが(r2 > 0.85, P < 0.0001)、首では放牧条件下で相関が低い(r2 = 0.39, P = 0.02)。
  2. 直近24時間の平均歩数をそれ以前の指定した日数の平均と比較して倍率を算出し、指定倍率を超えた場合に発情と判断するシステムにおいて、発情発見の効率と精度をそれぞれ発見率と的中率で示す(図1)。両者を統合した指標として発情発見指数を用い、最大値となる条件を最適設定とする。計算方法は以下の通りである。
        発見率(%)=(真の発情検出数)/(真の発情総数)×100
        的中率(%)=(真の発情検出数)/(万歩計検出総数)×100
        発情発見指数=発見率×的中率/100
  3. 搾乳作業のない育成牛における、飼養条件および装着部位別の最適設定とそのときの発見率と的中率を表1に示す。発見指数を用いた3つの飼養条件間の比較では、パドック飼養で最も効率が高く、つなぎで最も低い(図2)。装着部位別では、飼養条件にかかわらず肢での効率が高く、首への装着はパドック条件でのみ実用的なレベルである。また、前・後肢両方に装着したつなぎ条件下では、前肢の効率が若干良く、また着脱も比較的容易で、糞尿による歩数計の汚れも少ない。
  4. 昼夜放牧条件下の搾乳牛では、搾乳前後の放牧地−牛舎間の移動や牧区の変更の影響がみられ、発情発見指数の最高値は54(1.5倍、9-11日;表2)と、育成牛の昼夜放牧条件下での最高値である83(図2)よりも低いが、実用的なレベルである。

[成果の活用面・留意点]

  1. 同様の方法で発情判定するシステムにおいて、飼養条件や歩数計の装着場所に応じて条件設定する際の参考となる。最適設定は、これら2つの条件以外の影響も受けるため、導入時に微調整が必要である。
  2. 発情行動自体をとらえる方法ではないので、他の情報も参考にして授精の判断をおこなう。また、搾乳牛では搾乳に伴う牛の移動が、歩数変化に大きく影響することに注意が必要である。特に放牧条件下では、牧区変更が歩数の急激な変化を招かないよう、転牧順序を工夫する必要がある。

[具体的データ]

[その他]

 



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