寒冷地の肉牛ふん堆肥化における腐熟堆肥吸着法活用モデル


[要約]

[キーワード]

[担当]道立畜試・環境草地部・畜産環境科
[代表連絡先]電話0156-64-5321
[区分]北海道農業・畜産草地
[分類]技術・参考


[背景・ねらい]

[成果の内容・特徴]

  1. 冷涼期(開始時気温5〜10℃前後)に通気量80L/分/m3(府県で適正とされる通気量)・40L・20Lおよび無通気の堆肥化について比較した。乾物分解率および昇温の観点から、通気量40, 20L/分/m3および無通気の場合、80L/分/m3と比較して同程度以上に堆肥化が進行する(表1)。また、悪臭発生リスクの観点から、切返し時の悪臭は無通気の場合に強い腐敗臭が感じられ(表1)、20L/分/m3区でも切り返し1回目では強い刺激臭を発するが、寒冷期における堆肥発酵促進と臭気低減の両立のためには20L/分/m3が適していると判断される。
  2. 4m3規模の堆肥化試験を寒冷条件下で行った。寒冷条件(堆肥化材料の初期温度が0℃程度・非凍結、開始時外気温が−5℃前後)においても、堆肥化開始後、無通気条件で堆積し50℃以上の品温上昇を確認してから少量通気(20L/分/m3)を開始することで、発酵温度は雑草種子の死滅条件である60℃・3日を満たすことが可能である。
  3. 肉牛ふん尿・オガコ混合物の通気式堆肥化(通気量=40,20L/分/堆肥1m3)において発生するアンモニアの腐熟堆肥吸着法による除去能力を調査した(図1)。堆肥化槽において4週間の通気期間中に発生するアンモニア量ガスを外部に漏出させないよう通気量の3倍量で吸引し、腐熟堆肥に通気することで、8割以上のアンモニアを吸着できる(表2)。
  4. アンモニアを吸着させた腐熟堆肥は、2週間少量通気(20L/分/堆肥1m3)することで、アンモニアを揮散させることなく硝化を促進し、無臭化することが可能である。
    以上の結果を基に、図2に腐熟堆肥吸着法によるふん尿堆肥化フローを提示する。

[成果の活用面・留意点]

  1. 本成績はオガコを敷料として用いている肉牛牛舎のふん尿の堆肥化促進・脱臭技術として活用できる。
  2. 寒冷期においては一次発酵槽の品温を観察し、50℃以上の期間のみ通気する。
  3. 吸引管内に発生する結露水を排出する必要がある。結露水にはアンモニア態窒素が高濃度で溶け込んでいるため、環境汚染を起こすことのないよう取り扱いに留意する。

平成19年度北海道農業試験会議(成績会議)における課題名および区分
「寒冷地における肉牛ふん尿の通気式堆肥化過程から発生するアンモニアの腐熟堆肥吸着による脱臭技術」(指導参考)

[具体的データ]

[その他]

 



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