ながいものえそモザイク病の発生実態と採種ほにおける防除対策
[要約]
-
ながいものえそモザイク病当代感染個体は無病徴となることがあり、翌年に発病して収量が減少する。採種ほでの伝播を防ぐには、発病株の除去、殺虫剤の施用および補完資材の利用に加え、採種ほを一般ほと距離的に離して設置することが最も合理的な防除対策である。
[キーワード]
- ながいも、採種、えそモザイク病、潜伏感染、採種体系
[担当]道立十勝農試・生産研究部・病虫科、作物研究部・畑作園芸科
[代表連絡先]電話0155-62-9812
[区分]北海道農業・生産環境
[分類]技術・普及
[背景・ねらい]
- ながいものえそモザイク病(病原ウイルス:ヤマノイモえそモザイクウイルスChYNMV)のウイルス感染時期や採種過程において感染を増加させる要因を明らかにし、健全種いも生産のための効果的な防除対策を示す。
[成果の内容・特徴]
- 7月20日以降に感染した個体(当代感染個体)では、無病徴のまま経過(潜伏感染)することがあった。
- ウイルス保毒種いもに由来する発病個体では収量が22〜39%減少し、当代感染発病個体では減少しなかった(図1)。
- 一般ほにおける現地発生実態調査の結果、保毒種いもの混入割合を示す8月の発病個体率は、採種ほを一般ほから隔離して設置する採種体系A(図3注釈参照)において最も低かった。
- 保毒種いも混入率を示す8月の発病個体率は、増殖ほと比較して、翌年の一般ほで増加する場合が多く、正の相関が認められた(図2)。
- いずれの採種体系でも潜伏感染が認められ、特に体系CとDでは潜伏感染率が高かった(図3)。
- 当代感染発病個体は、ウイルス保毒種いもに由来する発病株および発病野良ばえの近隣に発生する傾向があった。
- 感染時期(6月〜7月および9月以降)と、ジャガイモヒゲナガアブラムシの捕獲および寄生が6〜7月に多いこと、ワタアブラムシの捕獲および寄生が9月以降に多いことをあわせて考えると、媒介にはこの両種が主として関与していると推測された。
- シルバーテープは防除効果がない(表1)。シルバーストライプマルチは、安定性を欠くものの、殺虫剤散布と同程度に発病個体率を抑制し防除効果がある(表1)。有効期間は茎葉が繁茂する以前の7月頃までに限定され、シルバーストライプマルチは殺虫剤散布を補完する資材として利用する。
- 以上により、健全種いもの生産のためのえそモザイク病防除対策指針をまとめた(表2)。
[成果の活用面・留意点]
- 本成績は、ながいも生産における採種ほの設置方針の決定およびえそモザイク病に対する防除対策の参考とする。
- 殺虫剤の選択にあたっては、アブラムシ種により効果が異なるので注意する。
平成19年度北海道農業試験会議(成績会議)における課題名および区分
「ながいものえそモザイク病の発生実態と採種ほにおける防除対策」(普及推進)
[具体的データ]
[その他]
- 研究課題名:ながいもの採種ほにおけるヤマノイモえそモザイク病防除対策
予算区分:道費
研究期間:2004〜2006年度
研究担当者:小野寺鶴将、田縁勝洋、鳥越昌隆
目次へ戻る




