たまねぎのネギアザミウマと白斑葉枯病の発生対応型防除法
[要約]
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ネギアザミウマの従来より簡便な防除開始時期モニタリング法を用い、タマネギ白斑葉枯病の初発条件を考慮して、両病害虫に効果の高い農薬を適切な開始時期・間隔で散布することで、両病害虫の発生に対応したたまねぎの減化学農薬防除が可能である。
[キーワード]
- ネギアザミウマ、タマネギ白斑葉枯病、薬剤防除、減農薬防除
[担当]道立北見農試・生産研究部・病虫科、道立中央農試・生産環境部・予察科
[代表連絡先]電話 0157-47-2146
[区分]北海道農業・生産環境
[分類]技術・普及
[背景・ねらい]
- 北海道のたまねぎ生産において、ネギアザミウマと白斑葉枯病が生育期の重要病害虫であり、それぞれに対し効率的防除法が示されている。しかし、調査手法が煩雑であること、また防除時期の判断法が示されていないこともあり、発生状況に関わらずスケジュール散布が行われ、散布回数が多いのが実情である。そこで、それぞれの病害虫の被害解析を行い、簡易モニタリングによる発生対応型防除技術を開発する。
[成果の内容・特徴]
- ネギアザミウマに対して登録がある主要薬剤の中では、プロチオホス乳剤・シペルメトリン乳剤(水和剤)・シハロトリン水和剤の効果が高く、これらの薬剤は10日間隔の散布が効率的である。
- 殺虫剤散布回数は、ネギアザミウマ発生量の多い地域では3〜4回、少ない地域では2〜3回で高い収量を確保できる。
- 食害程度指数が25に達した時に防除を開始すると高い収量を確保できる。ただし25に満たない場合でも7月10日に達した時点で最初の防除を行うことが適切である。
- 7月を防除の重点時期とみなし、効果の高い薬剤を適切に使う場合は7月20日前後の散布を最終散布としても、高い収量を確保できる。
- 本防除体系におけるモニタリングは、防除開始時期までの食害程度を調査すればよいため(図1)、栽培期間中にわたり寄生株率調査が必要となる従来法と比較して、回数・方法が簡便化される。また、薬剤散布回数と収量は従来法と同程度である(表1)。
- 白斑葉枯病の発病が増加するほど収量は低下し、倒伏期の病斑面積率30%で10%減収する。
- 本病防除には初発期の薬剤散布が重要で、フルアジナム水和剤1000倍散布を初発〜初発5日以内に行うことで最も高い効果が得られる(図3)。
- 薬剤散布間隔は15日、最終散布は倒伏期の15日前とする。フルアジナム水和剤、クレソキシムメチル水和剤F、ボスカリド水和剤DFは、15日間隔の散布に利用可能である。
- 本病が初発する気象条件として、2日以上の連続降雨または10mm以上のまとまった降雨の後7日以内に初発生しやすく、特に平均気温18℃以上で発病する可能性が高いため、降雨の後7日間生育の良好な200株を観察し、初発を探す(図2)。
[成果の活用面・留意点]
- たまねぎの白斑葉枯病および、ネギアザミウマの防除対策として活用する。
- 白斑葉枯病の初発を探す際、灌水も降雨に相当するので留意する。
平成19年度 北海道農業試験会議(成績会議)における課題名および区分
「たまねぎのネギアザミウマと白斑葉枯病に対する簡易モニタリングによる発生対応型防除法」(普及推進)
[具体的データ]
[その他]
- 研究課題名:タマネギ白斑葉枯病発生予察システムBOTCAST(ボトキャスト)の適合性検討、たまねぎ減農薬栽培技術の総合開発、たまねぎ減農薬栽培モデルの策定に向けた技術開発と実証
予算区分:道費
研究期間:2003〜2007年度
研究担当者:古川勝弘、三宅規文、池谷美奈子、新村昭憲
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