ケイ酸含有資材がブルームレス台木きゅうりの病害に及ぼす影響
[要約]
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ケイ酸含有資材施用は植物体のケイ酸含有率向上に貢献せず、またうどんこ病、褐斑病、べと病に対する発病抑制効果も認められなかった。
[キーワード]
- きゅうり、ケイ酸含有資材、病害、葉身中ケイ酸含有量、ブルームレス台木
[担当]道立上川農試・研究部・病虫科、栽培環境科
[代表連絡先]電話0166-85-2200
[区分]北海道農業・生産環境
[分類]技術・参考
[背景・ねらい]
- 上川管内では耐病性の向上や品質向上を目的として、きゅうり圃場でケイ酸含有資材を施用している事例が多い。しかし生産現場において広く栽培されているブルームレス台木きゅうりは、自根やブルーム台木きゅうりと比べケイ酸の吸収量は著しく低く、ケイ酸含有資材の施用効果は不明である。本試験ではブルームレス台木キュウリにおいて、ケイ酸の吸収量およびうどんこ病などの病害発生に及ぼすケイ酸含有資材施用の効果を検討した。
[成果の内容・特徴]
- 土壌可給態ケイ酸はケイ酸含有資材施用により上昇する傾向にあったが、可給態ケイ酸の高い圃場(生産者B)ではその効果は判然としなかった(表1)。
- 葉身のケイ酸含有率は、台木栽培では自根栽培と比べ極めて低かった。自根栽培ではケイ酸60kg施用で含有率が高くなる傾向があったが、施用効果は概して判然としなかった。また、台木栽培ではケイ酸含有資材施用による含有率の上昇は認められなかった(表2)。また、ケイ酸含有資材施用により、ブルーム発生が助長されることもなかった(表2)。
- ポット試験によるケイ酸の高濃度施用では、可給態ケイ酸の濃度は上昇し、葉身のケイ酸含有率も高まる傾向にあった(表3)。
- 自根栽培では、台木栽培と比べ葉身のケイ酸含有率が高く(表2)、うどんこ病の初発は遅くなったが、施用量の違いによる発病の差はなかった(図1)。自根の発病度は初発が遅れた分、初めは低く推移したが、8月上旬以降は台木栽培とほぼ同様甚発生となった(図1)。
- 上川管内生産者圃場においては、ケイ酸含有資材施用による葉身のケイ酸含有率向上や褐斑病およびべと病に対する発病抑制効果も認められなかった。
- 以上のことから、ブルームレス台木栽培ではケイ酸含有資材施用による葉身のケイ酸含有率向上効果や病害抑制効果は期待できない。
[成果の活用面・留意点]
- ケイ酸吸収とうどんこ病の関係についての参考資料とする。
平成19年度北海道農業試験会議(成績会議)における課題名および区分
「ケイ酸含有資材がブルームレス台木きゅうりの病害に及ぼす影響」(指導参考)
[具体的データ]
[その他]
- 研究課題名:ケイ酸含有資材がブルームレス台木きゅうりの病害に及ぼす影響
予算区分:民間受託
研究期間:2006〜2007年度
研究担当者:長浜恵、坂口雅己
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