北海道における小麦の子実灰分の実態とその変動要因


[要約]

[キーワード]

[担当]道立北見農試・作物研究部・麦類科
[代表連絡先]電話0157-47-2146
[区分]北海道農業・生産環境
[分類]技術・参考


[背景・ねらい]

[成果の内容・特徴]

  1. 灰分は年次間、地域間で大きく変動した。主要産地4支庁産の秋まき小麦「ホクシン」の灰分(平均値)は過去11年間で1.40〜1.61%と変動し、支庁間差も毎年0.03〜0.21ポイントみられる。このうち、日本めん用の基準値1.60%を超過したのは2カ年のべ4支庁である。2005〜2006年に生産者圃場から収集した「ホクシン」計415点のうち、基準値を超過した割合は2005年は17%、2006年は67%である(データ略)。
  2. 子実中に含まれる無機成分は2カ年平均で、 Kが33%、Pが23%、Mgが6%であり、この3成分で灰分の62%を占める。子実中のP含有率が高まると灰分は増加し、r=0.79〜0.85の高い相関がある(データ略)。
  3. 「ホクシン」の灰分は融雪期から出穂期までの低温多雨、登熟期の高温により増加する(データ略)。
  4. 作土の有効態リン酸が多くなると灰分は増加する(図1)。2006年の3地域を対象に、乾土100g当たりの有効態リン酸を10〜30mg(基準値)、30〜70mg、70mg以上と3段 階に区分し、灰分の平均値を比べると、それぞれ1.61%、1.66%、1.68%と増加する。
  5. 春まき小麦について、子実の登熟条件が良好な場合(容積重840g/L以上)は、基肥のリン酸施用量を標準量から半減すると灰分は0.02〜0.05%減少する。一方、作土の有効態リン酸が10mg(/100g乾土)前後の場合、収量は低下する(図2)。
  6. 倒伏の発生、立枯病や眼紋病の発病程度が高い場合は、容積重・千粒重は低下し、灰分は増加する(表1)。
  7. 灰分には品種間差があり、秋まき小麦は「ホロシリコムギ」、「ホクシン」、「きたもえ」、「きたほなみ」の順に低くなり、春まき小麦は「春よ恋」「はるきらり」が「ハルユタカ」より低い(データ略)。
  8. 以上から、灰分を増加させる条件を表2に示す。

[成果の活用面・留意点]

  1. 本成果は小麦の品質評価基準に対応するため、北海道における小麦子実の実態とその変動要因を示す。
  2. 当面の対応として、適切な肥培管理、病害・障害発生の防止に努めるが、年次・地域によっては、灰分が品質評価基準値を上回る場合がある。

平成19年度北海道農業試験会議(成績会議)における課題名および区分
「小麦の子実灰分の実態とその変動要因」(指導参考)

[具体的データ]

[その他]

 



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