稲わら粉末添加による水田土壌中の二価鉄増加と、イネ及びイネ科雑草の出芽抑制


[要約]

[キーワード]

[担当]北海道農研・根圏域研究チーム
[代表連絡先]電話011-857-9260、電子メール seika-narch@naro.affrc.go.jp
[区分]北海道農業・生産環境、共通基盤・土壌肥料
[分類]研究・参考


[背景・ねらい]

[成果の内容・特徴]

  1. 水田土壌(風乾土)と稲わら粉末の混合物を湛水し、イネ(ほしのゆめ)、タイヌビエ、またはイヌビエを深さ2pで播種して培養すると、イネ及びタイヌビエは、培養7日目には、稲わら添加量が多くなるに従って、出芽が抑制される(図1)。その後、イネの出芽率は、回復するが、タイヌビエの出芽率はほとんど変化しない。
  2. 播種深が2pの場合、イヌビエは全ての処理区で出芽せず(データ非表示)、播種深が0.5pではわずかに出芽する(図1)。このとき、稲わら添加量が多いほど出芽は抑制され、培養期間が長くなっても、出芽率は変化しない。
  3. 土壌溶液中の二価鉄は、稲わら添加量とともに増加し、その量は稲わら0.9%添加区で、最大、100 mg L-1 程度となる(図2)。
  4. シャーレに、イネ、タイヌビエ、イヌビエのいずれかの種を入れた後、0、25、50、75、100 mg L-1の二価鉄溶液とともに7日間培養すると、二価鉄量の増加に伴って、イネ、タイヌビエ、イヌビエ種子根の伸長が抑制され、その程度は、イヌビエ>タイヌビエ>イネとなる(図3)。ただし、発芽率はイネでは100%、タイヌビエは約60%、イヌビエは約30%で、鉄濃度の違いによる有意な差はない(データ非表示)。
  5. 以上から、土壌中への稲わら添加は、イヌビエ>タイヌビエ>イネの順で出芽を抑制し、その要因の一つが、土壌溶液中の二価鉄増加による、発芽以降の生育抑制であると考えられる。

[成果の活用面・留意点]

  1. 新鮮有機物施用によって水田雑草を制御するための基礎的情報である。
  2. 既往の報告より、新鮮有機物施用によるイネ及びイネ科雑草の出芽抑制には、有機酸濃度の上昇など、二価鉄以外の要因も関係していると考えられる。

[具体的データ]

[その他]

 



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