北海道美唄湿原ミズゴケ群落とササ群落の蒸発散の比較


[要約]

[キーワード]

[担当]北海道農研・寒地温暖化研究チーム、北海道大学
[代表連絡先]電話011-857-9260、電子メール seika-narch@naro.affrc.go.jp
[区分]北海道農業・生産環境
[分類]研究・参考


[背景・ねらい]

[成果の内容・特徴]

  1. コンテナを用いたライシメータ法によるササ群落の蒸発散は、ライシメータ内の設定水位により異なる(図1)。ライシメータ法とボーエン比法で求められた値の間には、いずれの設定水位においても有意な正の相関がみられたが(-5cm;r=0.55(p<0.05)、-15cm;r=0.85(p<0.01)、-25cm;r=0.83(p<0.01))、ボーエン比法の測定期間(5月2日〜8月24日)における現場平均地下水位(-11cm)に近い設定水位で、最も近似する。コンテナを用いたライシメータ法による蒸発散の測定は、設定水位が現地の地下水位環境を反映する場合、ササ群落においても利用可能である。 設定水位が-5cmの場合、-15cm、-25cmに比べ相関係数が小さくなったが、地下水位が高い場合、呼吸が妨げられることで根からの吸水が阻害されると考えられる。
  2. ミズゴケ群落の蒸発散量は、ライシメータ法、微気象学的手法により算出した値とも、ササ群落に比べ大きい(図2)。
  3. 2006年5月6日〜2006年11月1日の積算雨量は700mmあり、ササ群落では約70%、ミズゴケ群落では約80%が蒸発散により消費される(図2)。

[成果の活用面・留意点]

  1. 湿原の水収支を把握するための基礎資料となる。
  2. 測定は無積雪期間に行われたものである。
  3. 湿原のササ群落にはヤチヤナギの他、ウルシも存在し、ササ群落のライシメータ内はヤチヤナギも存在する。
  4. 根からの吸水が蒸発散に大きく寄与する植物が含まれる場合は、設定水位が高くならない等、現地の水位変動を把握しておく必要がある。

[具体的データ]

[その他]

 



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