タヌキTop | 被害対策の基本 | タヌキによる被害 | タヌキの生態 | 参考資料 |
タヌキ被害対策の基本 |
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タヌキによる被害を防ぐには、環境整備、物理的防除、個体数管理、威嚇といったものが考えられる。下記にそれぞれについて詳しく述べる。また、被害対策を行うコツについても述べる。
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詳細 | 図または写真 | 費用の目安 | 参考文献 | |
環境整備 | ||||
被害地周辺の薮などのカバーをなくす | 周辺の藪や下草を定期的に刈り取り、隠れ場所をなくす。 | 刈払機(2〜5万円くらい)及び燃料代 | 竹内・佐伯(2008) | |
タヌキ道、側溝などの通り道を遮断する | 佐伯(2008) | |||
生ゴミ、コンポスト等にタヌキを寄せ付けない | 生ゴミは収集日のみに出し、夜間放置しない。コンポストは、蓋のある仕様を使う。 | 0円 | ||
物理的防護 | ||||
金網フェンス | 目合26mm亀甲金網を張る。外へL字に折り曲げて埋めたり、別の金網を平置きするか根元に畔波を埋設するかで掘り起こし対策をする。 | ![]() |
亀甲金網:7000円前後/91cmx30m 畔波: ¥1000/20m |
竹内(2008) |
防護ネット | 目合い1mmほどのポリエチレン製透光防虫ネット(爪が掛からない)をイボ竹などの支柱で立て、根元に畔波を埋設し掘り起こし対策をする。 | ![]() |
ネット: ¥27000/210cmx100m イボ竹: ¥10000/50本 畔波: ¥1000/20m |
竹内(2007) |
柵 | 足が掛からないような縦のみの4cm以下の間隔の柵を立て、掘り起こし対策をする。 | |||
電気柵 | 一番下の線は地面から10cmくらいで、草対策のため草抑えマルチや土壌硬化材を併用する。20cmほどの低い柵を作り、それを跳び越える踏切位置に10cm高で線を張ると、より効果がある。 | ![]() |
竹内(2008) | |
トタン柵 | トタン幅の60-65cmの高さでは低すぎるので、外側に20度くらいバンクをつけて立てる。 | ![]() |
トタン板:¥700/枚 支柱:¥500〜1000/本 |
竹内(2008) |
果実樹に登れないようにするタヌキ返し | 爪などが掛からない素材を幹に巻いたり、幹に忍び返しのような障壁を設置するなど工夫する。 | |||
ラッピング | ポリネットやテープや果実袋などを個々の果実やトウモロコシなどにかける。 | |||
*フェンスや柵の高さは、低いと跳び越えられ、執着している場所なら1.2mでも乗り越えることがある(写真6)。外側に少し倒す(バンクをつける)ことや、踏切位置を不安定にするなどには効果が見込まれる。 | ||||
個体数管理 | ||||
有害駆除 | 「鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律」に基づき、実際に生じている被害かその恐れがある場合に、有害鳥獣捕獲の許可申請を行う。(違反した場合は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金) | |||
威嚇 | ||||
イヌを使った威嚇 | ![]() |
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音や光やニオイなどによる威嚇 | ロケット花火による威嚇や蚊取り線香に爆竹を結びつけたものを一斗缶に入れ、人がいない時に急に音やニオイがするしくみ。 | ![]() |
竹内・佐伯(2008) 現代農業(1993) |
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コツ | ||||
タイミング | タヌキが作物の味を覚え、執着する前の対策が肝要である。 | |||
組み合わせ | 環境整備と物理的防除等を組み合わせると効果が上がる。 | |||
変化 | 柵などの位置や配置を少し変えて警戒心を起こさせる。 | |||
見回り | 侵入箇所や掘り返し場所の発見がすぐでき、警戒心も起こさせる。 |
参考・引用文献 | |||||
佐伯 緑 | 2008 | 第12章 里山の動物の生態−ホンドタヌキ. | 「日本の哺乳類学」第2巻 | 東京大学出版会 | 321-345 |
佐伯 緑・竹内正彦 | 2008 | タヌキによる農作物被害の現状とその対策(1)−タヌキの生態と農作物被害の現状−. | 農業および園芸 | 83 (6) | 657-665 |
竹内正彦 | 2007 | イチゴ露地ほ場におけるアナグマの食害防護. | 応用動物昆虫学会誌 | 51 (3) | 187-196 |
竹内正彦 | 2008 | みんなで考えよう タヌキ被害への対策. | 果実日本 | 63 (1) | 74-77 |
竹内正彦・佐伯 緑 | 2008 | タヌキによる農作物被害の現状とその対策(2)−被害対策−. | 農業および園芸 | 83 (7) | 758-764 |