飼料作物病害図鑑

トウモロコシ　さび病 リスク評価スコア2.3 (2,2,3)

病徴	病原菌（夏胞子）	病原菌（冬胞子）

病徴：北海道、東北で発生が多い最も一般的なさび病(根本 1983, 但見ら 1983b, 1983d)。冷涼多湿条件で発生し、絹糸抽出期頃から、葉の両面にオレンジ色〜茶色、やや細長く、長さ2〜5mm、幅1〜2mm程度の夏胞子堆を多数形成し、表皮が破れてそこから夏胞子が飛散し、まん延する。さび胞子堆は後にやや黒化し、冬胞子を形成する。カタバミ類が中間宿主である(原田 1984, 月星ら 2013a)。

病原菌：Puccinia sorghi Schweinitz、担子菌
病原菌はトウモロコシ系統を判別品種として数多くのレースに分類されているが、日本で発生するレースについては不明である。

生理・生態：罹病葉では飼料成分が変化し、可溶性糖類等が減少することが報告されている(井澤ら 1980, 1982b)。

防除法：トウモロコシの品種・系統の抵抗性が報告されており(但見ら 1984c, 1985b, 1985c, 1988)、抵抗性品種を利用する。

畜産研究部門（那須研究拠点）所蔵標本

標本番号	宿主和名	宿主学名	症状	採集地	採集年月日	採集者
N8-59	トウモロコシ	Zea mays L.	さび病	宮崎県小林市二原	1969.10.3	岡田　大技師（宮崎農試）
N8-61	〃	〃	〃	富士山麓河口湖畔	1969.10.10	西原夏樹
N8-20	〃	〃	〃	河口湖畔	〃	〃
N17-18	〃	〃	〃	長野県伊那市	1970.10.6	〃
N12-62	〃	〃	〃	宮崎県佐土原町宮崎総合農試	1979.9.13	西原夏樹・田村紘吉・岡田　大
N12-64	〃	〃	〃	筑紫野市古賀福岡農試	1979.10.13	西原夏樹
N15-51	〃	〃	〃	山梨県都留郡船津村	1951.10.25	赤沢重正
N15-72	〃	〃	〃	黒石原	1961
N15-74	〃	〃	〃	〃	1960

(月星隆雄，畜産研究部門，畜産飼料作研究領域，2021）

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