受託組織における飼料イネ収穫・調製作業の受託条件
|
|
[要約] |
カンショなどを基幹作物とする耕種農家からなる受託組織が、飼料イネの収穫・調製作業を受託する場合、受託作業と作業時期が競合する基幹作物の減収を考慮して出役労賃を設定するか、さらに競合のない作業を受託する必要がある。 |
![]()
[キーワード]飼料イネ、収穫・調製作業、受託料金、出役労賃 |
![]()
[担当]茨城県農総セ・農業研究所・経営技術研究室
[代表連絡先]電話:029-239-7210
[区分]関東東海北陸農業・経営部会
[分類]技術・参考 |
|
[背景・ねらい] |
茨城県では飼料イネの作付面積が増加しているが、その生産体制には飼料イネの作付を耕種農家が行い、収穫・調製作業を受託組織が請け負う形態が見られる。このような形態では、一部の耕種農家が受託組織の構成農家となって収穫・調製作業に従事しているが、各経営で作付けする基幹作物と、飼料イネの収穫・調製作業時期が競合するため、構成農家では基幹作物の適期作業が困難なため減収となる。そこで、受託組織の構成農家の所得を向上することができる飼料イネ収穫・調製作業の受託条件を明らかにする。 |
![]() [成果の内容・特徴] |
1. |
飼料イネの作付を耕種農家が実施するとともに、収穫・調製を受託組織(カンショを基幹とする耕種農家)が担当し、利用を畜産農家が担う場合の料金の流れは、図1に示すとおりである。 |
2. |
託組織が収穫・調製作業のみを受託する場合、作業時期の競合からカンショが減収するため、県平均の労働水準(1.5万円/日)では、構成農家の合計所得はより低下する。受託により所得が増加するには、出役労賃2.83万円/日以上が必要となる(図2)。 |
3. |
収穫・調製作業の出役労賃を県平均水準(1.5万円/日)とすると、収穫・調製作業だけでなく、基幹作物と作業競合しない水稲春作業を6.4ha以上受託することで、構成農家の所得は増加する(図3)。 |
4. |
収穫・調製作業のみを受託する場合は、構成農家の出役労賃2.9万円/日を確保するために受託料金を約2.6万円/10a以上に設定する。出役労賃を1.5万円/日に設定する場合は受託料金を約2.4万円/10a以上とし、春作業も受託する(図4)。 |
|
![]()
[成果の活用面・留意点] |
1. |
本成果は、飼料イネの作付を耕種農家、収穫・調製を受託組織、利用を畜産農家が担う地域において、受託条件を設定する際に活用できる。 |
2. |
カンショ・野菜類を主要作物とする茨城県A町の飼料イネ生産・利用体制を前提として分析した。出役労賃の分析では、構成農家が個人経営において加工用カンショ、ダイコン、バレイショ、水稲を作付けすることを前提とした。また、受託料金の分析では、受託組織が飼料イネ収穫・調製作業を約60ha受託することを前提とした。 |
|
![]() [具体的データ] |
|
![]() [その他] |
研究課題名:多湿水田地帯における乳牛への飼料イネ生産流通・給与技術の体系化と営農システムの策定
予算区分:交付金プロ「関東飼料イネ」
研究期間:2004〜2008年度
研究担当者:中嶋 直美
|
|
目次へ戻る |