ブロッコリーの減肥栽培が可能な歩行トラクタ用条施肥機


[要約]
歩行トラクタ用の条施肥機を開発した。ブロッコリーの夏播き冬どり栽培では、苗の直下10cmの位置に条施肥することにより、追肥作業を省略し、減肥をすることができる。

[キーワード]条施肥、減肥、ブロッコリー

[担当]群馬農技セ・環境作物部・機械施設係
[代表連絡先]電話:027−269−9122
[区分]関東東海北陸農業・作業技術
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
ブロッコリーの夏播き冬どり栽培での施肥は、基肥と追肥をほ場に全面施肥する方法が主体であるが、環境負荷低減や資材高騰の影響により肥料削減技術が求められている。そこで、土中に粒状肥料を条施肥する歩行トラクタ用の施肥機を開発し、ブロッコリーの減肥栽培技術を確立する。

[成果の内容・特徴]
1. 条施肥機は、歩行トラクタでけん引し、ロール式操出し装置により作溝底部へ肥料を放出する。操出しの駆動は接地輪で行い、作溝の深さは地表面より10p前後まで調節が可能である。1行程の施肥条数は2条で、条間は57〜70pの設定が可能である。また、本機は平畝用の条施肥機である(図1)。
2. 条施肥機により基肥散布に要する作業時間は約1.2h/10a(条間60p、施肥深さ10p)である。ブロッコリー栽培(平畝栽培)において、本機を利用した条施肥栽培を行ったところ、基肥散布、移植、中耕に要する合計作業時間は7.7h/10aである。これは、慣行作業とほぼ同等であるが、条施肥体系では、基肥散布後の耕耘作業と追肥作業が省略される(表1)。
3. 移植作業は、主に半自動移植機(乗用自走ゴムディスク式慣行苗移植機)で行われる。半自動移植機での移植の場合、施肥位置と移植位置にずれが生じる。平均ずれ幅は約3.0pであるが、10p程度のずれまでは花蕾重および収穫期間への影響はほとんどない(表2)。
4. ブロッコリーの夏播き冬どり栽培で、基肥を苗の直下10pの位置に条施肥したところ、条施肥栽培は全面全層施肥に比べ、初期生育の遅れが見られるものの、花蕾が形成されてからはほぼ同等の生育を示し、追肥を省略し、施肥量を減らしても品質の差はほとんどない(表3)。 

[成果の活用面・留意点]
1. 条施肥機は3.0〜7.7kWの歩行トラクタに装着可能である。また、装着にともない施肥機取付姿勢確保等のため歩行トラクタの車輪を変更する必要がある。
2. 移植前のほ場の乾燥は活着を遅らせるので、施肥後は速やかに移植を行う。
3. 減肥の程度は地域や栽培条件により異なる。
4. 本機は三菱農機株式会社と共同で開発し、2007年7月から同社より試験販売されている。

[具体的データ]
図1 歩行トラクタ用条施肥機の概要
表1 ブロッコリー栽培に要する作業時間
表2 施肥位置と移植位置のズレが花蕾重と収穫期間に与える影響
表3 初期生育量と収穫時品質

[その他]
研究課題名:多彩な消費者ニーズに対応した野菜生産技術の確立
予算区分:県単
研究期間:2005〜2007年度
研究担当者:加藤香織、渡辺政一郎、畑山雅直

目次へ戻る