半自動型移植機といも類小型収穫機を利用した落花生の省力化技術


[要約]
移植機を利用した播種作業は、条間90cmの平高畝に株間24cm、深さ3cmに一粒播種することで、慣行と同程度の収量が得られ、作業時間を慣行の約50%に省力化できる。いも類小型収穫機を利用した掘取り・反転作業時間は、慣行の約40%に省力化できる。

[キーワード]落花生、播種作業、収穫作業、省力化

[担当]茨城農総合セ・農業研究所・経営技術研究室
[代表連絡先]電話:電話029-239-7210
[区分]関東東海北陸農業・作業技術
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
国産落花生は、実需者及び消費者から需要があるが作付面積は減少傾向にある。その要因として「価格の低迷」と「作業の機械化の遅れ」が指摘されている。他方、落花生は、露地野菜との輪作作物として導入している経営が多い。そこで、落花生の生産振興を図るために機械化栽培技術として、野菜用の作業機を利用した落花生の省力化技術を確立する。

[成果の内容・特徴]
1. 半自動型移植機は、播種穴を覆土するための鎮圧ローラと畝に追従するためのガイドローラを装着し、作業者がロータリーポットに種子を供給することで落花生の播種作業に利用できる。2人組作業で移植機を使用した延べ労働時間は4.2h/10aで、手作業の約50%に省力化できる(図1表2)。
2. 播種深さを3p程度とし、その上に盛り土をおこなわなくても、深さ2〜3pに播種しその上に盛り土を行う慣行の播種方法と同程度の収量が得られる(表1)。
3. 移植機を利用した落花生栽培では、条間90pの平高畝(畝幅50p、畝高さ10p)に、株間24pに一粒播種することで、慣行栽培と同程度の収量が得られる(表2)。
4. いも類小型収穫機は、条間90pの平高畝で栽培した落花生の収穫作業に利用できる。収穫作業は、機体の右側に並列に乗車した2人が、収穫機が掘り上げた落花生を5株程度に束ね反転・島立てを行う。左回り作業を行うことで島立てした落花生を転倒させることなく連続作業を行うことができる(図1右)。2人組作業でいも類小型収穫機を使用した延べ労働時間は5.0h/10a程度で、慣行作業の約40%に省力化できる(表3)。
5. いも類小型収穫機を利用した掘り取り作業では、掘り取り深さを20p程度とし、土と一緒に落花生を掘り上げることで、収穫損失を少なくできる(表3)。

[成果の活用面・留意点]
1. 落花生とキャベツ、ニンジン、ジャガイモ、カンショを栽培している多品目畑作経営で活用できる。
2. 移植機を使用した播種作業では、播種穴の開孔にともなう風によるマルチの剥離を防ぐために、畝上に土を置く補助作業が必要となる。
3. いも類小型収穫機を使用した収穫作業では、落花生の茎葉が過繁茂になるとコンベヤガイドに落花生が停滞することがあるので、作業者が落花生が円滑に収穫できるように補助する。
4. 移植機に適した平高畝は、ポテトプランタの畝成型部に畝高さを制限する鉄板を装着することで作畝できる。

[具体的データ]
図1.移植機を利用した播種作業といも類小型収穫機を利用した収穫作業
表1.播種深さと生育収量
表2.株間及び播種粒数の違いと生育収量
表3.いも類小型収穫機の掘取深さの違いと作業精度

[その他]
研究課題名:多品目畑作経営の成立条件の解明と落花生の省力化技術の確立
予算区分:県単
研究期間:2005〜2007年度
研究担当者:弓野 功、皆川 博、森 拓也

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