ウシ単為発生卵の効率的な作出方法


[要約]
活性化刺激にCaイオノフォアおよび6-ジメチルアミノプリン(6-DMAP)を用いることで、体外受精卵と同等な胚盤胞期への発生率でウシ単為発生卵を作出できる。

[キーワード]受胎率、単為発生卵、妊娠認識物質

[担当]茨城畜セ・先端技術研究室
[代表連絡先]電話:0299-43-3333
[区分]関東東海北陸農業・畜産草地(大家畜)
[分類]研究・参考

[背景・ねらい]
ウシ凍結受精卵の受胎率は平成17年度の調査では46%と、最近10年間横ばい状態である。そのような中、栄養膜小胞と受精卵を共移植した場合、栄養膜小胞から産生される妊娠認識物質であるインターフェロンタウ(IFN-τ)の作用によって受胎率が向上する可能性が報告されている。
そこで、作出方法が栄養膜小胞と比較して簡単であり、IFN-τを産生することが明らかになっている単為発生卵を受胎率向上に応用するために、効率的な単為発生卵の作出方法を検討する。

[成果の内容・特徴]
1. 単為発生卵は、18〜24時間成熟培養したと場由来卵子を用いて、電気パルス法、Caイオノフォア法、エタノール法および6-DMAP法により作出し(表1)、作出方法の違いが活性化3日後の卵割率および7〜8日後の胚盤胞期への発生率に与える影響を調査する。
2. 単為発生卵の卵割率を作出方法別に体外受精と比較すると、6-DMAP法で有意に高く(p<0.01)、それ以外の方法では有意に低い(p<0.01)(図1)。また、同様に胚盤胞期への発生率を体外受精と比較すると、6-DMAP法で有意な差は認められず、それ以外の方法では有意に低い(p<0.01)(図2)。

[成果の活用面・留意点]
1. 6-DMAP法で作出された単為発生卵がIFN-τを産生することが確認できれば、受精卵との共移植による受胎率向上技術に利用できる可能性がある。
2. 6-DMAP法で作出された単為発生卵が産生するIFN-τ産生量を調査する必要がある。

[具体的データ]
表1 各種試薬を用いた単為発生卵作出方法
図1 作出方法の違いが卵割率に与える影響
図2 作出方法の違いが胚盤抱期への発生率に及ぼす影響

[その他]
研究課題名:単為発生卵が産生する妊娠認識物質を利用することによる受胎率向上効果の検討
予算区分:県単
研究期間:2008〜2011年度
研究担当者:山口大輔(茨城畜セ)、斉藤公治(熊本農研)、安川幸子(奈良畜セ)、笹木教隆(福井畜試)、橋谷田豊(畜産草地研)

目次へ戻る