県産規格外カンショを利用した高品質豚肉の生産


[要約]
カンショの粉末を10%以上配合し、アミノ酸のリジン濃度を0.4%に調整した飼料を中ヨークシャー種の体重50kgから100kgまでに給与すると、胸最長筋の筋肉内脂肪含量が平均6%以上となる。背脂肪内層の脂肪酸組成は飽和脂肪酸含量が増加し硬く締まり、色は白さが際だつ脂肪になり特徴ある豚肉が生産できる。

[キーワード]豚肉、中ヨークシャー種、カンショ、筋肉内脂肪含量、リジン

[担当]千葉畜総研・生産技術部・養豚養鶏研究室
[代表連絡先]電話:043-445-4511
[区分]関東東海北陸農業・畜産草地(中小家畜)
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
地域特産豚肉の開発を目的とし、昭和30年代「チバヨーク」として全国的に知名度の高かった中ヨークシャー種を利用し、さらに肉質において差別化を図るため、全国第3位の生産量を誇るカンショの規格外品を飼料として利用する。また、飼料中のリジン濃度を制御することによる霜降り豚肉の生産技術を活用した特徴ある豚肉生産を行う。

[成果の内容・特徴]
中ヨークシャー種の肥育後期(体重50kg〜100kg)に飼料中の粉末カンショの配合割合を5%(去勢雄1頭、雌3頭・TDN77.7%、CP10.1%)、10%(去勢雄3頭、雌2頭・TDN77.6%、CP9.9%)、15%(去勢雄3頭、雌2頭・TDN77.5%、CP9.7%)とした試験区を設け、リジン濃度を0.40%に調整した飼料を給与する。
1. 胸最長筋の筋肉内脂肪含量は、カンショ10%以上で平均6.0%以上となる(図1)。
2. 背脂肪内層の飽和脂肪酸は、カンショの配合割合が増加するにつれ高くなることが認められる(P<0.05、図2)。また、n6系多価不飽和脂肪酸については、カンショの配合割合が増加するにつれ低くなることが認められる(P<0.05)。
3. 脂肪の融点については、カンショの配合割合が増加するにつれ融点も高くなることが認められる(P<0.05、図3)。
4. 脂肪色は、カンショの配合割合が増加するにつれL*値は高くなり、a*値は低くなる(図4)。 以上の結果カンショの配合割合が増加するにつれ、硬く締まり白さの際だつ脂肪となる。
5. 本成果を基盤として、規格外カンショを20%配合した飼料を中ヨークシャー種肥育豚に給与し、地域特産豚肉を千葉県内で生産している。

[成果の活用面・留意点]
1. 県産規格外カンショの活用により、地域特産と差別化した銘柄豚肉が生産することができる。また、飼料自給率の向上が図れる。
2. 胸最長筋の筋肉内脂肪含量は、飼料中のリジン濃度の調整により高めているので、調整には気を付けること。また、性別や個体によりリジンの要求量が異なるので、筋肉内脂肪含量にはバラツキが生じる。

[具体的データ]
図1:筋肉内脂肪含量(%)  図2:背脂肪内層の飽和脂肪酸割合
図3:背脂肪内層の融点  図4:背脂肪内層の脂肪色

[その他]
研究課題名:カンショ活用型ハイパー豚肉生産
予算区分:先端技術を活用した農林水産研究事業
研究期間:2006〜2008年度
研究担当者:高橋圭二、鈴木邦夫、松本友紀子、岡崎好子、山口昇一郎(福岡農総試)、村上徹哉(福岡農総試)、勝俣昌也(畜草研)

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