トウモロコシ乾燥蒸留かす(DDGS)は豚肥育後期飼料に10%配合できる


[要約]
体重80kgの肥育豚にDDGSを10%配合した飼料を給与し、発育成績と出荷時の肉質等に及ぼす影響を検討したところ、DDGSを配合しないものに比べて差はみられず、肉豚肥育用配合飼料においてDDGSを10%配合することが可能である。

[キーワード]DDGS、肥育豚、肉質、背脂肪、融点

[担当]群馬県畜産試験場 中小家畜係
[代表連絡先]電話:027-288-2222
[区分]関東東海北陸農業・畜産草地(中小家畜)
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
DDGSの特徴はトウモロコシと比較し粗蛋白質、粗脂肪、粗繊維含量が多く、大豆かすと比べエネルギー含量が高く安価であることである。しかし、DDGSの配合割合が高くなると枝肉脂肪の軟化が懸念される。
現在、肉豚肥育用配合飼料としてDDGSを5%配合したものは市販されているが、よりコストを下げるため、DDGSを倍量の10%配合した飼料を体重80kgから出荷時まで給与して、発育成績と肉質等への影響を確認して実用化を図る。

[成果の内容・特徴]
1. 肉豚肥育用配合飼料にDDGSを10%配合した飼料を肥育豚に給与しても、発育成績である一日平均増体重、飼料要求率に有意差は認められない(表1)。
2. 枝肉成績である枝肉重量、背脂肪厚、と体長、と体幅に有意差は認められない(表3)。
3. 肉質分析における胸最長筋の肉色、加熱損失率、水分含量、筋肉内脂肪含量、剪断力価及び背脂肪内層の色も同様に有意差は認められない(表4)。
4. DDGS中に多く含まれるリノール酸が脂肪の融点を下げることが考えられたが、背脂肪内層の融点に有意差は認められない(表4)。
5. 以上の結果からDDGSを肥育後期飼料に10%配合することが可能であると考えられる。

[成果の活用面・留意点]
1. DDGSはトウモロコシや大豆かすの代替となり得ることから、DDGSを10%配合することによりコスト節減が可能である。
2. DDGSは製造方法やロットによってバラツキがみられるので、飼料に配合する場合には、栄養成分等を十分把握して使用する必要がある。

[具体的データ]
表1 供試飼料の原材料と配合割合
表2 発育成績
表3 枝肉成績
表4 肉質検査成績

[その他]
研究課題名:豚肉の品質向上技術の開発
予算区分:県単
研究期間:2007〜2008年度
研究担当者:高橋 泰幸

目次へ戻る