高タンパク質・高脂質と低タンパク質・低脂質エコフィードの大すう期への給与


[要約]
コンビニエンスストアから排出される消費期限切れの食品を高タンパク質・高脂質と低タンパク質・低脂質に分け乾燥処理した両素材を各0%、0%(無添加)と10%、5%および17%、8.5%の割合で配合して大すう期の鶏に給与しても、産卵成績、卵質成績ともに無添加群と同等の値を示すが、排泄ふん便中の水分率は飼料切り替え初期において添加群が高い傾向を示す。

[キーワード]コンビニエンスストア、エコフィード、大すう期、産卵成績、卵質成績

[担当]千葉県畜総研・生産技術部・養豚養鶏研究室
[代表連絡先]電話:043-445-4551
[区分]関東東海北陸農業・畜産草地(中小家畜)
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
コンビニエンスストアから排出される消費期限切れの食品を飼料化したもの(エコフィード)を採卵鶏に給与する試験は実施されている。しかし、消費者の中にはエコフィードを給与した鶏から産出される卵に抵抗がある人もいる。飼料の高騰化の中、飼料費の低減を図るため、大すう期のみにエコフィード給与し、成鶏期には市販の配合飼料を給与することにより、産卵成績・卵質成績・排泄ふん中の水分率に影響を及ぼすかを検討する。

[成果の内容・特徴]
給与したエコフィードは、弁当のおかず、惣菜、調理パン、具入り麺、菓子類など(高タンパク質・高脂質、HP・HL)とご飯類、低脂麺、菓子パン(低タンパク質・低脂質、LP・LL)を加熱乾燥したものである。70日齢の採卵鶏ジュリア117羽を用い、13羽×3反復/群の3群を設け、71日齢から140日齢までは両素材を各17%、8.5%と10%、5%、および0%、0%の割合で配合した飼料を、141日齢から476日齢までは3群とも市販採卵鶏成鶏用配合飼料を給与し、4週間を1期間として成績を取りまとめる。
1. HP・HLの成分(乾物中)は粗蛋白質19.4%、粗脂肪21.3%、粗繊維1.09%、粗灰分4.13%、NFE 40.3%、Ca 0.47%、P 1.14%、Mg 0.05%、K 0.53%、Na 0.64%である。LP・LLは粗蛋白質8.3%、粗脂肪4.1%、粗繊維0.38%、粗灰分4.12%、NFE 73.3%、Ca 0.45%、P 1.03%、Mg 0.04%、K 0.38%、Na 0.26%である。
2. 育成期の体重の推移に各群間に差はみられない(表1)。また、飼料摂取量も同様の推移である。
3. 全期間平均の産卵率、平均卵重、産卵日量、飼料摂取量、飼料要求率の産卵成績に群間による差はみられない(表2)。
4. 全期間平均の卵重、卵殻強度、卵殻厚、HU、卵黄色の卵質成績に群間による差はみられない(表3)。
5. 成鶏期の排泄ふん便中の水分率の推移は、市販配合飼料切り替え後8週間、無添加群がHP・HL17%、LP・LL8.5%群がより低い値(p<0.05)を示すが、その後、3群間に差はみられない(表4)。
6. 調査期間中の卵の総生産額と各群の大すう期と成鶏期の総飼料費から試算すると、1羽あたりの利益は無添加群で2,069円、HP・HL10%、LP・LL5%群で2,138円、HP・HL17%、LP・LL8.5%群で2,209円である。

[成果の活用面・留意点]
1. エコフィードを有効利用し、飼料費の軽減が期待される。
2. 産卵成績、卵質成績については差がみられず、大すう期へのエコフィードの応用は可能である。

[具体的データ]
表1.大すう期間中の体重の推移(g)
表2.全期間の平均産卵成績
表3.全期間の平均卵質検査成績
表4.排泄ふん中水分率(%)

[その他]
研究課題名:未利用資源の養鶏飼料への応用の検討
予算区分:県単
研究期間:2006〜20008年度
研究担当者:村野多可子

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