画像解析による豚肉の脂肪交雑評価
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[要約] |
デジタルカメラでロース芯断面を撮影し、画像処理ソフトウェア「ImageJ」を用い、適切な画像処理をすることにより脂肪交雑の評価は可能であり、画像解析により算出した脂肪交雑割合と筋肉内脂肪含量は有意に高い相関関係にある。 |
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[キーワード]豚肉、脂肪交雑、画像解析、デジタルカメラ |
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[担当]千葉畜総研・生産技術部・養豚養鶏研究室
[代表連絡先]電話:043-445-4511
[区分]関東東海北陸農業・畜産草地(中小家畜)
[分類]技術・参考 |
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[背景・ねらい] |
牛肉では、高品質の定義として従来から脂肪交雑(サシ)が重要な形質としてあげられ評価されている。豚肉における評価は、ロース肉の一部を用い、エーテル抽出法により筋肉内脂肪を抽出し測定しているが、牛肉での脂肪交雑の評価とは異なる。
最近豚肉においても脂肪交雑に注目し育種改良等が進められており、銘柄化への一指標として、ロースカット面の脂肪交雑割合が注目されてきている。脂肪交雑の評価は、牛肉では従来から人間の眼で評価されている項目であるが、今回、豚肉において簡易で迅速な方法として、ロース芯断面の撮影画像を用い、画像解析による脂肪交雑の評価について検討する。
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[成果の内容・特徴] |
1. |
豚ロース芯画像の取得方法は、写真撮影用の市販簡易スタジオのなかに試料を置き、光源は東芝フォトリフレクタランプ(500W)を2基用い、光の反射を抑えるよう左右から照明を当て、デジタル一眼レフカメラ(撮影モード:AUTO,画素数:3872×2592ピクセル)で撮影する。脂肪交雑割合(ロース芯面積に対する脂肪交雑の総面積割合)の算出は、フリーウェアである画像処理ソフト「ImageJ」で処理する。(表1) |
2. |
画像処理ソフト「ImageJ」による脂肪交雑割合の算出方法は、撮影したロース芯断面の画像をBMPファイルに変換し、写真1のとおりモノクロ8bitに変更後、反転する。次に、ノイズ除去、背景平滑化処理を行い、肉眼で脂肪を赤に色分けする閾値を与え、ペンタブレットを用い手動でロース芯を設定、測定することにより、ロース芯の面積、脂肪のカウントと総面積並びに脂肪交雑割合を数値化することができる。 |
3. |
画像解析に供試した97頭の肉質成績は表2に示すとおり、筋肉内脂肪含量の平均が3.4%であり、画像解析で算出した脂肪交雑割合の平均が3.5%ある。また、両項目の間に、有意に高い相関(r=0.889)が認められる。(図1) |
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[成果の活用面・留意点] |
1. |
デジタルカメラ、フリーウェアの画像解析ソフトを用い、簡易にロース芯の脂肪交雑割合の評価が可能である。 |
2. |
今回用いた二値化のための閾値はサンプルごとに目視で設定したため、客観的な評価のためには、今後閾値等の設定基準の確立が必要である。 |
3. |
精度の高い脂肪交雑割合を算出するためには、画素数、撮影方法等に留意し良質な画像の取得が必要である。 |
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![]() [具体的データ] |
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![]() [その他] |
研究課題名:肉質評価技術の確立
予算区分:県単
研究期間:2006〜2007年度
研究担当者:鈴木邦夫、高橋圭二、松本友紀子、岡崎好子
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