ブタの性判別ができるLAMP用プライマー


[要約]
ブタのY染色体特異的DNA配列をもとに設計したLAMP用プライマーを用いて、反応時間が約35分でDNAサンプルの性判別ができる。

[キーワード]ブタ、Y染色体、LAMP、性判別

[担当]愛知農総試・畜産研究部・豚グループ
[代表連絡先]電話:0561-62-0085
[区分]関東東海北陸農業・畜産草地(中小家畜)
[分類]研究・参考

[背景・ねらい]
近年、凍結保存したブタの初期胚から子豚を得ることが可能となり、種豚生産での実用化が期待されている。ところで、家畜の性別は重要な経済形質の1つである。凍結初期胚の利用価値を高めるには、あらかじめ胚の性別を把握することが有効である。ウシではすでに、簡便かつ短時間に実施可能なLAMP法による技術が実用化している。そこでブタにおいてもLAMP法による胚の性判別技術を開発するため、その中心となるLAMP用プライマーを設定して、性判別の可能性を検討する。

[成果の内容・特徴]
1. LAMP用プライマーはブタSRY遺伝子を基に設計した4種類と、反応時間短縮のためにLoopプライマー2種類を使用する。(図1および表1
2. DNAの増幅は、反応液(25μl)の白濁をリアルタイム濁度測定装置を用いて測定するとともに視覚的に判定する。
3. ブタの体細胞(耳片)から採取したDNAサンプル20pgを反応温度63℃で増幅処理すると、約35分で雌雄判別が可能である。(図2

[成果の活用面・留意点]
1. 今後の胚の性判別に活用する場合、胚からのDNA抽出法を検討する必要がある。
2. 胚からのDNA採取においては、透明帯を損傷するため、伝染病等の汚染対策も検討する必要がある。
3. 本条件でDNA増幅をおこなう場合、反応液25μlあたりのDNAサンプル量が2.0pgでは雄特異的反応が現れない場合がある。

[具体的データ]
図1 LAMPプライマーの塩基配列とその設計部位の塩基配列との対応関係
表1 設計したLAMPプライマーの塩基配列
図2 LAMP反応の測定結果

[その他]
研究課題名:豚受精卵の凍結保存に関する研究
予算区分:県単
研究期間:2007〜2010年度
研究担当者:田島茂行・柴田貴子・河野建夫

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