飼養成績に影響させず低リジン飼料給与で豚の筋肉内脂肪含量を高める


[要約]
肉豚飼料のリジン含量を要求量の80%に制限して、体重75kgから115kgまで給与すると、飼養成績に影響を及ぼさず筋肉内脂肪含量の高い豚肉が生産できる。

[キーワード]リジン、飼養成績、筋肉内脂肪含量

[担当]三重畜研・中小家畜研究課
[代表連絡先]電話:0598-42-2029
[区分]関東東海北陸農業・畜産草地(中小家畜)
[分類]研究・参考

[背景・ねらい]
近年報告されている、飼料中のリジン含量を制御することによりロースの筋肉内脂肪含量を増やす技術を用い、消費者ニーズの高い霜降り豚肉生産技術の開発を行う。意欲のある県内生産農家へ技術の活用と取り組み促進をおこない、既存銘柄豚等の高付加価値化と豚肉生産基盤の強化を目指す。

[成果の内容・特徴]
1. とうもろこしと大豆粕を用いて、リジン含量を日本飼料標準・豚(2005年版)から体重70kgの要求量を0.64%と仮定し、その80%程度となる低リジン飼料(リジン含量0.53)とリジン要求量を満たした対照飼料(リジン含量0.65)を表1のとおり配合する。
2. 体重75kgから115kg到達までの雌豚を用いた飼養成績に、低リジン飼料給与の影響はない(表2)。
3. 枝肉歩留、ロース芯面積、および背脂肪の厚さに低リジン飼料給与の影響はない。一方、低リジン飼料を給与した豚はロースの筋肉内脂肪含量が高くなる(表2)。
4. 肉質調査日から冷蔵保存したときのロースの水分浸出(ドリップロス)に低リジン飼料給与の影響はない(図1)。
5. 平成19年度成果情報の資料では肉豚飼料のリジン含量を要求量の70%に制限した飼 料を体重70kgから出荷まで給与した豚のロース筋肉内脂肪含量は高くなるが、ロース 芯面積は小さくなり、飼養成績は劣る(表3)。

[成果の活用面・留意点]
1. 去勢雄豚に比べると雌豚のロース筋肉内脂肪含量は低いので、実用段階では雌豚肥育での利用が有効である。
2. 肉豚用飼料のリジン含量を制限する場合、豚の品種や雌雄に考慮する必要がある。
3. 当研究所で生産されたLWD交雑種の雌を用いたデータである。

[具体的データ]
表1 飼料配合割合(風乾物換算)  表2 飼養成績、枝肉成績
図1 ロースのドリップロス(単位:%)   表3 リジン要求量70%飼料での成績

[その他]
研究課題名:霜降り豚肉生産技術の開発
予算区分:県単
研究期間:2006〜2008年度
研究担当者:市川隆久、西 康裕

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