サトウキビ抽出物の飼料添加による離乳豚の細胞性免疫の増強


[要約]
離乳期用飼料にサトウキビ抽出物20%含有資材を0.05%添加して離乳豚に給与すると、細胞性免疫増強効果が示唆される。

[キーワード]サトウキビ抽出物、離乳豚、抗菌性物質、免疫増強

[担当]三重畜研・中小家畜研究課
[代表連絡先]電話:0598-42-2029
[区分]関東東海北陸農業・畜産草地(中小家畜)
[分類]研究・参考

[背景・ねらい]
畜産物の安全性に対する消費者の関心の高まりに対応した抗菌性物質無添加飼料の長期給与による豚肉生産が要望されているが、飼養管理技術が未確立なため、育成率の低下やと畜場での廃棄率の増加等が懸念されている。そこで、抗菌性物質に頼らない肉用豚飼養管理技術として、サトウキビ抽出物の飼料添加による離乳豚の免疫増強効果を検討する。

[成果の内容・特徴]
離乳時(生後21日)〜体重30kgの離乳期用飼料および体重30kg〜70kgの肥育前期用飼料給与期間において、サトウキビ抽出物を20%含有する市販資材を0.05%添加した飼料(サトウキビ区)、抗菌性物質含有飼料(抗菌剤区)および無添加飼料(無添加区)給与によるLWD種に対する細胞性免疫増強効果を雌雄計6頭/区の単飼で検討する。さらに体重70kg〜110kgの肥育後期用飼料給与期間は、各区とも無添加飼料とし、生産性およびと畜検査成績を検討する。なお、試験期間中において抗菌性物質含有飼料以外の抗菌性物質の使用は一切ない。
1. 離乳期用飼料給与期間に羊赤血球浮遊液の耳皮内接種を行い、72時間後に腫脹部位の面積を測定(遅延型過敏反応)したところ、サトウキビ抽出物の飼料添加により大きく腫脹し、細胞性免疫の増強が認められる(図1)。
2. 離乳期、離乳期+肥育前期、離乳期+肥育前期+肥育後期における1日増体重、1日飼料摂取量および飼料要求率は、各区間に差がない(表1)。
3. と畜検査での罹患率は、各区間に差がない(表2)。

[成果の活用面・留意点]
1. 増体重や飼料要求率等の生産性については供試豚数が少ないことから、頭数を増やしてサトウキビ抽出物の添加効果について確認する必要がある。
2. 抗菌性物質無添加飼料給与飼育を効果的に行うためには、一般衛生管理による病原体の除去・侵入防止、並びに適正な飼養管理によるストレスの低減を図る必要がある。

[具体的データ]
図1 遅延型過敏反応
表1 飼養成績
表2 畜検査成績

[その他]
研究課題名:抗菌性物質無添加飼料給与による鶏肉・豚肉生産技術の開発
予算区分:県単
研究期間:2004〜2006年度
研究担当者:巽俊彰、市川隆久

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