常温貯蔵におけるカンキツ「カラ」のヘタ枯れ軽減方法


[要約]
「カラ」の常温貯蔵において、収穫調整時のヘタの負傷は貯蔵中のヘタ枯れにつながる。収穫調整時に果梗枝を短く切りつめずに、収穫した果実袋のまま貯蔵すればヘタ枯れが少なく1ヶ月程度貯蔵できる。

[キーワード]カンキツ、常温貯蔵、ヘタ枯れ

[担当]三重農研・紀南果樹研究室
[代表連絡先]電話:05979-2-0008
[区分]関東東海北陸農業・果樹
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
中晩生カンキツ「カラ」は4月以降に成熟するため、三重県では果実に三重袋をかぶせて樹上越冬させている。果実は4月上旬以降浮き皮が発生するため、クエン酸が高い場合でもその時点で収穫し、常温貯蔵を行い減酸を待って出荷される。貯蔵は一般的には収穫調整後に裸果のまま内側を新聞紙で覆ったコンテナに入れ、冷暗所に保管する。しかし、貯蔵中にヘタ枯れの発生が多くなる事例が見られ、対応策の検討が必要となっている。そこで、「カラ」の常温貯蔵におけるヘタ枯れの発生要因の解明及び軽減方法について検討した。

[成果の内容・特徴]
1. 「カラ」はヘタが果梗部の果皮最上部よりも高く、突出した形状であるためヘタを負傷しやすく(図1)、選果場の出荷荷口では70%と多くの果実が既に負傷している(データ省略)。
2. ヘタを負傷した果実は常温貯蔵中に負傷した部分が先行して枯れ、ヘタ枯れが多くなる(表1)。
3. 「カラ」の常温貯蔵では、収穫時に果梗枝を短く切りつめずに収穫した果実袋のまま貯蔵すればヘタ枯れが少なく貯蔵できる(表3)。

[成果の活用面・留意点]
1. 貯蔵庫内の湿度は80%以上を目標とするが、湿度の変化が大きいなど乾燥しやすい条件の場合は、コンテナ内を新聞紙で覆って果実の減量を抑制する。
2. 出荷の際は通常の調整方法と同じように、他の果実を傷つけないように果梗枝を短く切る。この時にヘタを負傷しても流通期間が二週間以内であれば、ヘタ枯れの発生は少なく商品性を維持している。

[具体的データ]
図1 主な中晩柑のヘタ部の形状(果皮からの突出度合い)
表1 「カラ」貯蔵中のヘタ枯れ発生果率の推移
表2 「カラ」ヘタの傷が貯蔵中のヘタ枯れに及ぼす影響
表3 「カラ」の貯蔵方法とヘタ枯れ発生果率

[その他]
研究課題名:東紀州地域のカンキツ産業活性化のための技術開発事業他
予算区分:県単
研究期間:2005〜2007年度
研究担当者:須崎徳高、市ノ木山浩道

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