キャットミント優良系統の選抜


[要約]
既存品種の自家受粉により育成した実生苗の中から草姿、開花期、花色、葉色などの点で元株より優良な形質のある3系統を選抜し「かいミント」と命名した。そのうち2系統は、コンパクト性に優り、1系統は大型で耐倒伏性に優る特性を有する。

[キーワード]キャットミント、自家受粉、草姿、開花期、優良系統

[担当]山梨総農セ・応用育種科
[代表連絡先]電話:0551-25-6201
[区分]関東東海北陸農業・花き
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
キャットミント( Nepeta x faassenii ・シソ科ネペタ属)は、開花期間が長く、栽培も容易な品目である。しかし、既存品種は鉢物や花壇苗として利用するには草姿が大きい。一方、景観形成などに利用する場合、降雨などにより倒伏しやすく、草姿も乱れる。
 そこで、園芸用や景観形成用としての植栽を拡大するため、既存品種「ジャイアント」の自家受粉により得られた実生から園芸用としてはコンパクト性に優れ、景観形成用としては耐倒伏性が強く草姿の整った優良系統を選抜する。

[成果の内容・特徴]
1. 既存品種「ジャイアント」の自家受粉により得られた実生285個体の中からコンパクトな系統として「コマ」と「ヤツ」を、耐倒伏性が強い系統として「フジ」を選抜した。
2. 「コマ」の特性については、草姿は、株張り、草丈とも「ジャイアント」に比べて小さく、コンパクトである。開花は、「ジャイアント」に比べて8日ほど早く、花色は濃い紫色であり、葉色も濃い。(表1
3. 「ヤツ」の特性については、草姿は、株張り、草丈とも「ジャイアント」に比べて小さく、コンパクトである。開花は、「ジャイアント」に比べて13日ほど早く、花色は薄い極淡紫色で、葉色も淡い。茎がしっかりしていて耐倒伏性が強い。(表1図1
4. 「フジ」の特性については、草姿は、「ジャイアント」とほぼ同等の大きさである。 開花は、「ジャイアント」に比べて2日ほど早い。分枝数が多く、直立性で耐倒伏性 が強い。(表1図2

[成果の活用面・留意点]
1. 開花が終わった花がらは、花穂ごと早めに除去すると整った草姿が保たれる。
2. 梅雨時の高温多湿期には下葉の枯れ上がりがみられるが、刈り込むと草勢は回復する。
3. 苗の増殖は、種子では特性が維持できないので挿し芽で行う(図3)。
4. 平成20年2月に県の奨励品種とした。

[具体的データ]
表1 選抜した3系統の主要な生育・開花特性1)(2005)
 図1 「ヤツ」の草姿  図2 「フジ」の草姿
図3 平坦地(標高312m)での栽培概要

[その他]
研究課題名: 山梨ブランドの確立に向けた品種育成
1.キャットミント優良系統の育成
予算区分:県単
研究期間:2003〜2005年度
研究担当者:雨宮圭一、窪田浩一、外川高雄、藤木俊也、加藤成二

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