スパティフィラムの省エネルギー栽培
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[要約] |
冬季のスパティフィラムの栽培において、午前0時から6時までを慣行の20℃とし、他の時間帯を15℃に暖房する変温管理および暖房容積を縮小するチャンバー暖房は、生育を損ねずに省エネルギーを達成できる。 |
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[キーワード]スパティフィラム、変温管理、根圏局所加温、チャンバー暖房 |
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[担当]愛知農総試・園芸研究部・花きグループ
[代表連絡先]電話:0561-62-0085(内線543)
[区分]関東東海北陸農業・花き
[分類]技術・普及 |
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[背景・ねらい] |
スパティフィラムは熱帯地域を原産とする代表的な観葉植物であり、冬季20℃前後の暖房が必要である。しかし、近年は販売価格の低迷に加え、暖房機の燃料であるA重油価格が高騰しており経営が圧迫されている。そこで、冬季の暖房温度や効率的な暖房方法の検討を行い、その省エネ効果について検証する。 |
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[成果の内容・特徴] |
1. |
スパティフィラム「ショパン」の冬季の最適暖房温度は20℃で、生育の下限温度は15℃である。10℃の管理では葉色が淡くなりほとんど成長しない(データ略)。 |
2. |
生育適温以下の15℃の温室内で、後夜半の20℃暖房管理が生育を促進する(データ略)。その暖房時間帯と生育は、午前0時から6時まで20℃で管理すると、側芽数、株高および株張りは20℃で管理した場合とほぼ同等の生育を示し(表1)、観察では葉色も優れた。 |
3. |
生育適温以下の15℃の温室内で、根圏を25℃で局所加温すると、20℃の温室で管理した場合と同等の生育を示す(図1)。 |
4. |
10℃の温室内で、ベンチ上にチャンバー(ビニル製 縦90×横240×高さ100cm)を設置し、中を電熱線(潅水マット内に配線)により20℃で暖房すると、気温は20℃を下回るものの(図2)、20℃の温室で管理した場合と同等の生育を示す(表2)。 |
5. |
省エネルギー効果を重油80円/lとし、電気料を加味して試算すると、根圏局所加温の場合省エネ効果はなく、変温管理の場合40%弱、チャンバー暖房の場合50%程度であり、チャンバー暖房の省エネルギー効果が最も高い(データ略)。 |
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[成果の活用面・留意点] |
1. |
変温管理の場合、観葉植物の種類によって暖房する時間帯、管理時間が異なるのでそれぞれの植物種に合った管理が必要である。 |
2. |
根圏局所加温の場合、鉢用土が乾きやすくなるので毎日潅水する。また、生育促進効果はあるが、省エネルギー効果を期待する場合、ビニル等で覆い加温した熱を有効活用する必要がある。 |
3. |
チャンバー暖房の場合、チャンバー内は湿度がほぼ100%となるので、出荷直前にはチャンバーの開閉により順化処理が必要である。 |
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![]() [具体的データ] |
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![]() [その他] |
研究課題名:東海地域における原油価格高騰対応施設園芸技術の開発
予算区分:実用技術
研究期間:2006〜2008年度
研究担当者:新井聡、大石一史、和田朋幸、加藤俊博
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