浅紫色のフリージア新品種「石川f1号(仮称)」の育成


[要約]
「石川f1号(仮称)」は花色が浅紫色で、草姿に優れたフリージア新品種である。本品種は従来の薄紫色品種「ブルーヘブン」に比べて、花下がりが少ないことから、商品化率の向上が期待できる。

[キーワード]フリージア、新品種、浅紫色

[担当]石川農総研・育種栽培研究部・育種グループ
[代表連絡先]電話:076-257-6911
[区分]関東東海北陸農業・花き
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
フリージアは、花色が黄色のものが多く占めており、その他のカラーバリエーションが少ない。また、種球の供給元であるオランダでは濃色花が主体で日本の市場で求められているパステルカラーの品種の供給は期待できない。そこで、新規性のある花色を有する新品種を育成する。

[成果の内容・特徴]
1. 本品種は、1997年に花下がりが無い白色品種「エレガンス」を種子親、紫色品種「セイラー」を花粉親とした交配を行い、得られた30個体の実生から選抜した花色、草姿に優れる品種である。2003〜2006年にかけて特性調査を実施し、区別性、均一性が確認できたことから2007年3月に品種登録を出願し、2007年8月に「石川f1号(仮称)」の名称で出願公表された。
2. 従来の薄紫色品種「ブルーヘブン」に比べ、紫色がやや強い中間色の浅紫色を有する。花弁は一重で、花数、茎長、茎径はいずれも比較品種を上回り、草姿に優れている(表1図1)。
3. 季咲き栽培では「ブルーヘブン」に比べて、花下がりがみられず、商品化率の向上が期待できる(図2)。
4. 開花の早晩性は「ブルーヘブン」並の中であり(表1)、石川県における冷蔵促成栽培(無加温)での開花期は1月上旬である(表2)。

[成果の活用面・留意点]
1. フリージア品種のカラーバリエーションを広げ、オリジナリティを高める品種として期待できる。
2. 茎が太く、曲がりにくいため栽培は容易である。冷蔵促成栽培では1割花下がりが発生する。
3. 石川県内のフリージア生産地全域に適し、当面は県内生産者に栽培を限定する。

[具体的データ]
表1 「石川f1号(仮称)」の特性
図1 花色、花形  表2 冷蔵促成栽培の切り花品質
図2 花穂形

[その他]
研究課題名:園芸作物品種育成研究
予算区分:県単
研究期間:2004〜2008年度
研究担当者:村濱稔、吉秋斎、吉住隆司、井須博史、村濱美千代
発表論文等:農林水産省品種出願番号20767号 出願公表(2007年8月3日)

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