コギクにおけるキクわい化病の被害と発生推移


[要約]
キクわい化病発病株は、電照による開花調節が不可能で切り花栽培ができず、次作でも100%発病する。また、外観が健全な株でも発病が確認された品種ではキクわい化ウイロイドが検出される。

[キーワード]コギク、キクわい化病、キクわい化ウイロイド、電照

[担当]富山農総セ・園研・花き課
[代表連絡先]電話:0763-32-2259
[区分]関東東海北陸農業・花き
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
富山県におけるコギクの生産は、切り花栽培面積の約30%を占める基幹的品目である。しかし、ウイルス病等により品種更新を余儀なくされるなどコギク経営を圧迫していることから、健全な種苗生産供給体制の確立が望まれている。近年、特にキクわい化ウイロイド( Chrysanthemum stunt viroid,以下CSVd)によるキクわい化病の被害が増加しており、健全種苗の育成方法、CSVd検定手法等の開発、CSVd抵抗性系統の選抜等が急務となっている。そこで、CSVdの発生生態について明らかにするため、わい化履歴の違う親株を使用した場合のその後の発病状況及び開花や品質等に及ぼす影響について検討する。

[成果の内容・特徴]
1. 前年度にわい化症状が発生した品種の中から外観的に健全な株を親株に選定して栽培を行っても、わい化症状が増加していく(図1)。
2. キクわい化病発病株は、電照(60〜90Lx、21時〜2時の光中断)を行っても、低節位で早期に開花する(図2表1)。
3. キクわい化病発病株の切り花は、低節位で開花することから切り花長が短くなり、また、頂花の花径が小さくなる(表1)。
4. 前年度にわい化症状が発生した株を親株に用いてさし穂を採取し栽培すると、100%わい化症状が発生し、CSVdも検出される(表2)。
5. キクわい化病を発病した品種の中から外観的に健全な株を親株に選定して栽培を行ってもキクわい化病が発病し、正常に開花する株においてもCSVdが検出される(表2)。

[成果の活用面・留意点]
1. 生育中にわい化症状が発生している場合は、わい化株を除去し、CSVd検定用に外観的に健全な株から品種の特性を有する株に目印をつけておく。
2. キクわい化病を発病した品種については、外観が健全な株でもわい化病が発生するため、CSVdの診断・検定を行って、CSVdに感染していないことを確認してから親株に用いる。
3. 接種試験による抵抗性比較試験を行っていないので、「めだか」は抵抗性品種であると言えない。

[具体的データ]
図1 外観健全株親株利用時の年次別わい化症状発生株率 (親株:外観健全株利用)  図2 電照抑制栽培による開花状況
表1 親株の履歴及びキクわい化病の発病が開花及び切り花形質に及ぼす影響(品種:「おふく」)
表2 使用親株の履歴がCSVdの感染及びキクわい化病の発病に及ぼす影響

[その他]
富山小ギクの高収益生産性品種の選定及び病害抵抗性評価法の開発
予算区分:県単BR> 研究期間:2007〜2008年度
研究担当者:島 嘉輝、松下陽介(花き研)、伊山幸秀、築尾嘉章(花き研)、金森松夫

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