温暖地における秋どりレタスでの品種と高畝・全面マルチによる湿害軽減技術


[要約]
秋どりレタス栽培において、「スターレイ」および「ゴジラ」は湛水条件下でも調製重やA品球率が高い品種である。高畝栽培では13cmの地下水位確保で、圃場湛水の影響が小さく、湿害の軽減が図れ、また、全面マルチ栽培によりA品収量が多くなる。

[キーワード]秋どりレタス、品種選定、高畝、全面マルチ

[担当]茨城農総セ・園研・野菜研究室
[代表連絡先]電話:0299-45-8341
[区分]関東東海北陸農業・野菜
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
2004年度、関東地域を中心とした露地野菜産地で台風・長雨による被害が激発し、首都圏への安定供給に支障をきたした。レタスは特に湿害に弱い野菜であるため、なんらかの対策を講じる必要がある。そこで、降雨による湛水の被害が発生しやすい秋どりレタス栽培について、湿害の少ない品種を選定するほか、湿害軽減技術を開発する。

[成果の内容・特徴]
1. 湛水条件下で「スターレイ」は萎れ程度が低い他、調製重が大きく、A品球率が高くなる。また、「ゴジラ」の萎れ程度はやや低い程度で、調製重は中位であるが、A品球率が著しく高くなる。さらに、「スターレイ」では全重および調製重の対比が著しく高く、「ゴジラ」はA品球率の対差が大きくなる。したがって、「スターレイ」および「ゴジラ」は、湿害に比較的強い品種であると考えられる(表1)。
2. 平畝マルチ栽培では湛水条件下でレタスの全重および調製重が有意に減少してA品収量が低下するが、高畝・全面マルチおよび高畝栽培は調製重に有意差がみられず、高畝栽培すると湛水の影響はみられない。したがって、地下水位13 cmで湛水害が軽減され、地下水位5 cmでは湛水害の被害が大きいと考えられる。また、マルチ栽培を行うと全重、調製重およびA品収量が無マルチ区よりも大きく、生育が良好となる(表2)。
3. 高畝栽培では平畝栽培よりも定植位置が8 cm高く、地下水位との差が大きくなる(図1)。

[成果の活用面・留意点]
1. 「スターレイ」の播種期は9月上旬で、「ゴジラ」の播種期は8月下旬の播種に適用する。
2. 高畝・全面マルチは、K社製トラクターにM社製専用の畝たておよびマルチャーを取り付けて同時に作業を行い、作畝したものである。

[具体的データ]
表1 湛水処理を行った収穫時のレタスの生育・収量(2005年)
表2 湛水条件下での作畝方法の違いおよびマルチの有無がレタスの生育・収量に及ぼす影響(2007年)
図1 作畝および湛水処理の地下水位

[その他]
研究課題名:関東地域・露地野菜産地における降雨リスク軽減技術の確立
予算区分:委託プロ(実用技術)
研究期間:2005〜2007年度
研究担当者:貝塚隆史、中原正一、村ア 聡、鈴木雅人

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