DNAマーカーを用いた緑肉ネット系メロン「ひたち交3号」の判別法


[要約]
茨城県育成のメロン新品種「ひたち交3号」および緑肉ネット系メロン6品種を判別するために開発した4種類のDNAマーカーのうち、「ひたち交3号」は1種類のマーカーによって判別できる。

[キーワード]メロン、品種判別、Simple Sequence Repeat(SSR)マーカー

[担当]茨城農総セ・生工研・野菜育種研究室
[代表連絡先]電話:0299-45-8330
[区分]関東東海北陸農業・野菜
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
近年食品の産地偽装や品種偽装が相次いで発生し、消費者の食への信頼性が大きく揺らいでいる。食の安全・安心の確保にむけたトレーサビリティーシステムが構築されつつあるが、その一端としてここではDNA マーカーを用いて茨城県育成のメロン新品種「ひたち交3号」と外観判別が難しい市販品種との判別法を開発し、ブランド確立の有効な手段とする。「ひたち交3号」は現在試験販売段階ではあるが市場評価が高く、本格的に生産販売する見込みである。

[成果の内容・特徴]
1. 選抜した4種類のSSRマーカーは、茨城県育成新品種、緑肉ネット系メロン「ひたち交3号」と県内で流通する緑肉ネット系メロン6品種「アンデス」、「アンデス5号」、「オトメ」、「マリオネット2号」、「ローランL」、「メイスター」の判別に利用できる(表1
2. 選抜したSSRマーカーCMGAN12(Gonzalo et al. Theor. Appl. Genet. 110 : 802-811 2005)をSTS化したCMGAN12´における「ひたち交3号」、「アンデス」および「アンデス5号」の遺伝子型は、他の品種のそれらとは異なるため1つのマーカーで品種の判別ができる(図1)。
3. 判別システムの実用化には果実からのDNA抽出が必要であるが、果こう基部(ヘタ)からは効率的にDNAを抽出できる(データ略)。

[成果の活用面・留意点]
1. 本技術は、「ひたち交3号」および上記市販6品種に限った判別法であり、新たな品種が市場に流通した場合、判別4マーカーの有効性を確認する必要がある。

[具体的データ]
表1 4種類の判別マーカーによる判定
図1 DNAシークエンサーにおけるマーカーCMGAN12´のフラグメント解析結果
●
●

[その他]
研究課題名:他殖性野菜種苗高品質化を目指した品種判別法と純度検定法の開発
予算区分:委託プロ(高度化)
研究期間:2004〜2007年度
研究担当者:石川友子、宮城慎、葛谷真輝(筑西普及セ)、手塚孝弘(大阪府大)

目次へ戻る