高糖度トマト「甘しずく」の栽培後半2本仕立てと摘果による増収・収穫量平準効果
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[要約] |
「甘しずく」は、促成長期栽培において生育後半(1月上旬)に主枝を2本仕立てとすることで、糖度7度(Brix%)以上の合計収量、上物収量が増加する。また、1果房あたり3果に摘果することで、糖度7度以上の平均1果重が増加し収穫ピークが平準化される。 |
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[キーワード]トマト、高糖度、仕立て法、摘果 |
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[担当]群馬農技セ・園芸部・野菜第二係
[代表連絡先]電話:0270-61-0066
[区分]関東東海北陸農業・野菜
[分類]技術・参考 |
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[背景・ねらい] |
群馬県育成の糖度の高いトマト品種「甘しずく」は、栽培後半に草勢が弱まり、慣行品種に比べ収量性がやや低いことや、時期により果実品質が変動しやすいことが問題となっている。そこで、糖度7度以上の収量が増加する仕立て法や、糖度7度以上の平均1果重が重くなり、収穫・調製作業が軽減できる摘果の方法について明らかにする。
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[成果の内容・特徴] |
1. |
「甘しずく」の促成長期栽培において、1月上旬に開花した花房直下の側枝を伸ばし2本仕立てとする「後半2本仕立て」により、1月上旬以降は仕立て本数が慣行の2倍となる(表1)。 |
2. |
後半2本仕立ては、慣行の1本仕立てや2本仕立てに比べ、糖度7度以上の果実において平均1果重は約7g小さいが、合計収量が約16%多くなり、上物収量も増加する傾向がある(表1)。 |
3. |
1果房あたり3果に摘果することにより慣行の無摘果に比べ、糖度7度以上の果実において平均1果重が約14g重くなる(表2)。収穫後の生育は、摘果することにより茎径が増加し、草勢が維持される(表3)。 |
4. |
収量の時期による変動は、摘果することで平準化され、各時期の収量に対する下物割合も少ない(図1)。 |
5. |
摘果することにより、慣行の無摘果に比べ、摘果作業時間として128時間要するが、作業時間の合計では、収穫・調製作業が軽減するため、約33時間省力化できる(表3)。また、下物果が少ないため廃棄時間、廃棄の手間も軽減される。 |
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[成果の活用面・留意点] |
1. |
栽培は、ポット苗定植の促成長期どりである。 |
2. |
後半2本仕立ては、生育後半にやや草勢が弱くなるので、2月以降日中著しく萎れさせないように遮光を行い、少量多回数のかん水を行う。 |
3. |
後半2本仕立ては、慣行に比べ生育後半に管理作業が増加する。 |
4. |
摘果は、形状不良果を摘除し、ピンポン球大のステージの果実を1果房当たり3果残るように行う。 |
5. |
摘果にかかる作業時間は、摘果を単独作業で行うよりも、摘葉、側枝摘除などの日頃の管理作業の中で随時摘果を行うことで、より少なくなる。 |
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![]() [具体的データ] |
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![]() [その他] |
研究課題名:業務用高品質トマトの長期どり栽培による安定生産技術の開発
予算区分:委託プロ(加工)
研究期間:2006〜2008年度
研究担当者:本間素子
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