1年株養成法において茎の更新により伏せ込み促成後のアスパラガスが増収する


[要約]
株養成時の7月に細い方から約半数の茎を刈り取り更新することで、株養成時の茎が太くなり、1年生株を用いた伏せ込み促成栽培で問題となる商品価値の劣る細い若茎の発生が少なくなり、L級品以上の太い若茎の発生が多くなり増収する。

[キーワード]アスパラガス、伏せ込み促成栽培、株養成、茎、更新

[担当]群馬農技セ・中山間地園芸研究センター
[代表連絡先]電話:0278-22-3358
[区分]関東東海北陸農業・野菜
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
1年生株を用いた伏せ込み促成アスパラガス栽培では、株の養成期間が短いことから、収穫時の若茎はやや細い傾向がある。アスパラガスは株養成時に茎を刈り取ると、芽の内生アブシジン酸が減少してすぐに新しい萌芽がみられ、さらに、茎は2条のチドリで発生し順次太くなることが報告されている。そこで、株養成時に茎の更新を行い、太い茎の萌芽を促進して、太い若茎が得られる栽培法を確立する。

[成果の内容・特徴]
1. 株養成時の7月に細い方から約半数の茎を株元から刈り取り(以下、7月半刈と略す)更新することで、10月における株養成時の茎数が減少し、茎径が無処理より太くなる(図1)。
2. 7月半刈を行った場合の掘り上げ時における根株重と貯蔵根Brixは、無処理と同等である(データ省略)。
3. 伏せ込み促成栽培での若茎の収量は、無処理に比べ販売可能なS〜L級品の若茎が約 15%、L級品以上の上位規格品が30%以上高くなる(図2)。

[成果の活用面・留意点]
1. 1年生株を用いた伏せ込み促成栽培は、冬に播種した苗を、春にほ場に定植して株養成し、秋から冬に根株を掘り上げて温室内に伏せ込み、12〜3月頃にアスパラガスを収穫する作型である。
2. 刈り取る茎の目安は、垂れている細い茎とする。
3. 刈り取り作業は天候の良い日に行う。刈り取り後、天候の悪い日が続く場合には、病害予防のために薬剤散布を行う。

[具体的データ]
図1 1年生株を用いた伏せ込み促成アスパラガス栽培における夏季の茎の更新が株養成時の平均茎径と茎数に及ぼす影響(2003)
図2 1年生株を用いた伏せ込み促成アスパラガス栽培における夏季の茎の更新が若茎の収量に及ぼす影響(2004)

[その他]
研究課題名:アスパラガスの安定生産技術の確立
予算区分:県単
研究期間:2002〜2006年度
研究担当者:小泉丈晴、石澤昌彦

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