無加温ハウス育苗・トンネル栽培による初夏どりブロッコリー


[要約]
べたがけとトンネルを併用して無加温ハウス内で育苗し、定植後に空隙率10または35%のPVA割繊維不織布を用いてトンネル被覆することで、品質の良いブロッコリーが収穫できる。品種の組み合わせにより、5月中旬から6月上旬まで収穫が可能になる。

[キーワード]ブロッコリー、トンネル、べたがけ、セルトレイ、初夏どり

[担当]東京農総研・野菜研究チーム
[代表連絡先]電話:042-528-0505
[区分]関東東海北陸農業・野菜
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
ブロッコリーは周年を通して需要が高く、安定的な初夏どり栽培技術が求められている。しかし、初夏どり栽培では低温による生育障害が発生しやすいことから、育苗時および定植後の温度確保が重要である。ここでは、加温に頼らないハウス内育苗と定植後の被覆の方法を検討し、高品質な初夏どりブロッコリー生産の安定をはかる。

[成果の内容・特徴]
1. 育苗時の培地温度は、べたがけ(長繊維不織布)とトンネル(PVA割繊維不織布、空隙率10%)の2重被覆による育苗で、加温育苗に比べて夜間に低く昼間に高い。また、トンネル(同)のみの1重被覆に比べて夜間、昼間ともに高い(図1)。
2. 収穫時のブロッコリーの草丈は育苗方法の影響を受け、花蕾重は育苗方法および定植後の被覆資材の影響を受ける(表1)。定植後、空隙率10または35%のPVA割繊維不織布を用いてトンネル被覆することで花蕾重が増加する。
3. 花蕾品質は品種により育苗方法の影響を受ける。加温に比べて1重被覆では空洞花蕾とリーフィーが(表2)、2重被覆ではリーフィーが(表1)増加する。なお、リーフィーの増加は、花蕾あたり1枚程度であり、商品性への影響は小さい。
4. 収穫時期の異なる数品種を組み合わせることで、5月中旬から6月上旬まで連続して収穫が可能になる(図2)。

[成果の活用面・留意点]
1. 本成果は、東京多摩地区平坦地の2月中下旬播種、3月下旬定植、5〜6月どりのブロッコリー栽培で得られたものである。
2. 育苗は128穴セルトレイを用いてハウス内で行い、本圃では地温確保のために透明マルチを用い、定植後の被覆は4月中下旬までとする。

[具体的データ]
図1 育苗方法が培地温度に及ぼす影響   図2 各品種の収穫期 
表1 「ピクセル」の育苗方法・定植後の被覆と生育および花雷品質
表2 「すばる」の育苗方法・定植後の被覆と生育および花雷品質

[その他]
研究課題名:遺伝資源の収集・評価・保存
予算区分:都単
研究期間:2006〜2007年度
研究担当者:野口 貴、沼尻勝人、荒木俊光、海保富士男

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