房どり収穫向きのミニトマト新品種候補「トマト桔梗交43号」


[要約]
「トマト桔梗交43号」は短節間、短果房形質を有し、節間長、果房の果間長が短く、房どり収穫における収量性が優れ、つる下ろし・収穫作業労力を軽減できるミニトマトである。

[キーワード]ミニトマト、房どり、短節間、短果房、省力、つる下ろし、収穫作業

[担当]長野中信農試・畑作育種部
[代表連絡先]電話:0263-52-1148
[区分]野菜茶業・野菜育種、関東東海北陸農業・野菜
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
ミニトマトで一般的な長期どり栽培では、つる下ろし作業に多大な労力を要する。また慣行の収穫作業において一果房当たり多数の小さい果実を個どりで収穫するため、それらの作業の軽減化が求められている。そこで、bu遺伝子の付与により短節間・短果房化を図ることで、つる下ろし作業の軽減と房どり収穫可能な軽労化に適したミニトマト品種を育成する。

[成果の内容・特徴]
1. 「トマト桔梗交43号」は次の2系統の単交雑により育成された一代雑種である。種子親には「MNBU50-3-4」と「VITADOR」との交雑後代である「94-11-20」を「MNBU50-3-4」で平成9年に戻し交配し、その交雑後代から選抜した「SIBU13-8-7-5-2-6-3」を用いる。花粉親には「房太郎」と、「Lesley1040」と「MNBU50-3-4」との交雑後代を「房太郎」に平成9年に交配し、その交雑後代から選抜した「SIBU14-7-1-6-7-3」を用いる(図1)。
2. 「トマト桔梗交43号」の節間長は5.5cmで「千果」の67%と短く、果房の長さは8.9cmで54%と短い(表1図2)。
3. 「トマト桔梗交43号」の果実は15gの"やや扁平形"で「千果」より小さい。房どり収穫での収量性は「千果」より優れ、裂果の発生が少ない(表1)。
4. 「トマト桔梗交43号」の果実の糖度は「千果」とほぼ同等で、酸度は高く、食味は同等である(表1)。
5. 萎凋病(レース1)に対して抵抗性を有する(表1)。
6. 短節間、短果房形質保有系統は、栽培管理・収穫労力時間の内、誘引等、収穫作業の労働時間を大幅に短縮できる(図3)。

[成果の活用面・留意点]
1. 房どり収穫に適するため、1果房で分枝を3までに整理し、1分枝で15果程度になるよう摘果をする。
2. ToMV抵抗性を有しないため、台木は抵抗性がTm型か抵抗性を有しない品種を用いる。

[具体的データ]
図1 トマト桔梗交43号の育成系統図
表1 「トマト桔梗交43号」の主要特性(2006〜2008年の平均)
図2「桔梗交43号」の草姿  図3 ミニトマトの作業性比較(2004年)

[その他]
研究課題名:省力栽培適性品種の育成
予算区分:指定試験、委託プロ(超省力園芸)、県単
研究期間:1994〜2008年度
研究担当者:岡本潔、丸山秀幸、松永啓、矢ノ口幸夫、村山敏

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