寒地・寒冷地における夏秋どり業務用レタスの適品種と株間拡張による大玉生産


[要約]
寒地、寒冷地における夏秋どりレタスで業務用適性の高い品種は、エンパイヤ系やサリナス系、サリナス・エンパイヤ系、エンパイヤ・マック系の品種群に多い。また、慣行栽培より株間を広げることで大玉生産ができる。

[キーワード]業務用レタス、寒地・寒冷地夏秋どり、大玉生産、品種選定、栽植密度

[担当]長野野菜花き試・野菜部、佐久支場
[代表連絡先]電話:026-278-6848
[区分]関東東海北陸農業・野菜
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
レタスの出荷に占める業務用仕向けの割合は年々増加し、業務用専用の栽培体系の確立が求められている。従来長野県では、小売仕向け中心に販売単価が高い結球重500g程度を目標にした生産体系が組み立てられてきた。しかし、業務用レタスの実需者への聞き取り調査結果によれば、結球重700〜800g程度で加工歩留まりがよく、さらに結球葉の密度を示す結球緊度が大きすぎず、中肋突出や抽だいが軽度で、葉質が硬いなど加工作業性のよいレタスが求められている。そこで、業務需要に適した品種を選定するとともに、大玉生産が株間の拡張によって可能か否か検討する。

[成果の内容・特徴]
1. 大玉で比較的結球緊度が小さい品種の多くはエンパイヤ系やサリナス系、サリナス・エンパイヤ系、エンパイヤ・マック系の品種群に含まれ、それらは葉重型の結球性を示し、比較的葉肉が厚い品種が多い(図1)。カルマー系の品種は葉質が薄く、マック系の品種は結球重が重くなりにくく、いずれも中肋突出しやすいため、業務用適性は比較的低い(表1)。
2. 供試した品種の中では、業務用として、「サンバレー」、「パトリオット」、「ハイダー」、「ワイドビュー8号」、「ルシナ66」、「ラプトル」、「シナノホープ」等が適している(表1表2)。
3. 株間を慣行栽培(25〜27cm)よりも10〜20%広くし(27〜30cm)栽植密度を低くすることで、収穫時期が同じであっても5〜14%大きい玉が収穫できる(表2)。

[成果の活用面・留意点]
1. 寒地、寒冷地における夏秋どり栽培に適用できる。
2. 現在の市販品種は、各品種群の交雑系から選抜された品種が多く、同じ品種群に属しても異なる特性を示す場合がある。
3. 現地での導入にあたっては、チップバーン等の生理障害の発生や、とくに土壌伝染性病害の耐病性に留意する必要がある。
4. 株間を拡張し栽植密度を低くした場合、減少した株数の割合に応じて施肥量を減らしても、同程度の結球肥大を示す(データ略)。

[具体的データ]
図1 品種の結球重及び結球緊度の標準得点分布
表1 主な品種の特性
表2 株間と収穫期の生育

[その他]
研究課題名:業務用レタスの低コスト安定生産技術の開発
予算区分:委託プロ(加工)
研究期間:2006〜2008年度
研究担当者:小澤智美、星野英正、小松和彦、上杉壽和

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