二番茶後のせん枝の連年実施が一番茶収量に及ぼす影響


[要約]
二番茶後に深めのせん枝を連年実施すると、再生芽の生育や当年秋の葉層の確保が十分に行われず、翌年一番茶収量が減少する。特に二番茶を晩期摘採し深めのせん枝を行うと減少程度が大きくなる。

[キーワード]二番茶、せん枝、連年、収量、葉層管理

[担当]静岡農技研(茶研セ)・栽培技術開発
[代表連絡先]電話:0548-27-2311
[区分]関東東海北陸農業・茶業
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
二番茶後に葉層を取り除くせん枝は、樹高の上昇抑制や防除回数の低減等の利点があることから、近年実施される茶園が増加しているが、せん枝の連年実施による影響は不明な点が多い。
 そこで、二番茶摘採時期(6月中下旬実施,早期:適期を基準として概ね−3日,晩期:同概ね+4日)と整せん枝の深さ(整枝:前年秋整枝位置+2cm,浅めのせん枝:同-1cm,深めのせん枝:同-4cm)を組み合わせ、5年間同一処理を継続することにより、せん枝の連年実施が茶の収量に及ぼす影響について明らかにする。

[成果の内容・特徴]
1. 二番茶後の整せん枝が深いほど翌年の一番茶収量が少ない。また、二番茶の摘採時期の影響は整せん枝の深さほど大きくないものの、二番茶を晩期(多収)摘採してから深めのせん枝をした場合に減収程度が大きくなる(図1)。
2. 連年実施4、5年目になると、秋整枝後の芽数やPCA値(Plant Canopy Analyzerによる計測値,光学的に非破壊で着葉程度を計測したもの)と翌年の一番茶収量との相関が高くなり、せん枝を連年実施した茶園では、せん枝後の再生芽の生育や秋の葉層の確保が十分に行われず、翌年一番茶の収量低下を招く(表1図2)。

[成果の活用面・留意点]
1. 二番茶後に深めのせん枝を行う場合は、二番茶を早期摘採した茶園で行うか、連年実施を避ける。
2. 二番茶後のせん枝を連年実施する場合は、浅めのせん枝に留めることにより一番茶の収量への影響を小さくできる。
3. 深めのせん枝を行った場合の樹高上昇は年間1cm程度、浅めのせん枝では同4cm程度となることから、整枝とせん枝を組合わせることにより中切り更新の間隔を大幅に延長できる。

[具体的データ]
図1 二番茶摘採時期と整せん枝の深さが翌年一番茶収量に及ぼす影響
表1 組合せ試験における秋季の株面構成と翌年一番茶収量との相関
図2 秋の株面芽数と翌年一番茶収量との関係(2007,2008年)

[その他]
研究課題名:夏季の枝条管理による一番茶の安定生産技術の確立
予算区分:県単
研究期間:2006〜2008年度
研究担当者:鈴木利和

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