自然仕立て園における薬液が十分付着可能な冬期薬剤散布法


[要約]
自然仕立てのてん茶園における、クワシロカイガラムシを対象とした冬期の薬剤散布は、株元から上向きに噴射する方法に、番刈り面から水平に噴射する方法を併用することにより、十分な薬液の付着が得られ、防除効果の向上が期待できる。

[キーワード]チャ、クワシロカイガラムシ、自然仕立て園、冬期薬剤散布法

[担当]愛知農総試・東三河農業研究所・茶業グループ
[代表連絡先]電話:0532-61-6296
[区分]関東東海北陸農業・茶業
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
自然仕立てのてん茶園では、クワシロカイガラムシの防除適期がてん茶摘採の最盛期と重なり適期防除が困難なため、その被害が拡大している。この対応として、ピリプロキシフェン剤による冬期防除を平成20年度から行っている。しかし、自然仕立て園では番刈り面付近の枝条が多く、枝も太いことから(図1)、スズラン等で株元から上向きに吹き上げる従前の散布法では薬液の付着が不十分で、防除効果が不安定である。そこで、十分な付着が得られる省力かつ軽労な散布法を検討する。

[成果の内容・特徴]
1. うね間走行型の防除機に噴射の形状が扇状のノズルを上下2段装着し、下ノズルは地表面上20cmの高さとして株元から上向きに吹き上げ、上ノズルを番刈り面付近で、水平方向から噴射することにより(写真1)、十分な薬液の付着が得られる(図2)。
2. 本散布法は、N社の弧状仕立て用に開発された防除機を活用できる。また、単位時間あたりの散布量は、従前の散布法が9.1L/分に対し本法は30.0L/分で、散布作業時間は短い。

[成果の活用面・留意点]
1. 幼木時の仕立て方や品種による樹姿の違いにより、薬液の付着ムラが生じ、十分な防除効果が得られない可能性がある。
2. 本法は動噴圧力が高くドリフト対策が必要である。

[具体的データ]
図1 自然仕立て園の枝条構成(2008.11.10調査)  写真1 試験した散布法
図2 付着試験方法と付着結果

[その他]
研究課題名:各種病害虫制御技術の複合利用法の検討
予算区分:県単
研究期間:2006〜2008年度
研究担当者:安藤悟志、滝本雅章

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