精麦適性が優れる二条はだか麦「四国裸103号」の奨励(認定)品種採用


[要約]
大粒で整粒歩合が高く、精麦加工適性が優れる二条はだか麦「四国裸103号」を奨励(認定)品種として採用する。

[キーワード]はだか麦、奨励品種、四国裸103号、実用技術開発事業

[担当]埼玉農総研・水田農業研究所・米・麦担当
[代表連絡先]電話:048-521-5041
[区分]関東東海北陸農業・関東東海・水田作畑作
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
本県のはだか麦奨励品種「イチバンボシ」は、多収で、精麦加工適性に優れる品種である。しかしながら、本県では、小粒傾向にあり、実需から改善を求められている。さらに生産現場でも、年次によって、小粒化のため篩下が多く発生し、製品収量が減収し、生産の意欲をそいでいる。そこで、大粒で整粒歩合が高く、精麦適性に優れた品種を選定することで、県産はだか麦の評価向上と安定生産を図る。

[成果の内容・特徴]
「四国裸103号」(平成20年近中四農研育成)は「イチバンボシ」と比較して、次のような特徴があるので、認定品種に採用する。
1. 出穂期、成熟期は1〜5日遅い。耐倒伏性はやや優れる。(表1)。
2. 稈長は同程度から10cm長く、穂長は長く、穂数は多い。(表1)。
3. 子実重はやや少ないが、整粒歩合が高く、2.2mm篩選では多収である。(表1)。
4. 容積重はやや小さく、千粒重は大きい。(表1)。
5. 二条で並性のはだか麦である。播性程度はT、穂発芽性はやや易、うどんこ病抵抗性は極強、赤かび病抵抗性は強、縞萎縮病抵抗性は極強である(表3)。
6. 搗精白度が高く、精麦の品質総合評価も高い(表4)。

[成果の活用面・留意点]
1. 普及予定地は、県北はだか麦作付地域である。平成20年産は5ha作付けしており、平成21年産は10ha作付け予定である。実需者評価を得ながら「イチバンボシ」から転換を図る。普及予定面積は120ha。
2. 成熟期がやや遅く、穂発芽性がやや易であることから、播種時期が遅れないように注意する。

[具体的データ]
表1 奨励品種決定基本調査における成績
表2 実用技術開発事業現地実証試験における成績
表3 育成地(近中四農研)における特性概要
表4 精麦適性評価

[その他]
研究課題名:麦類奨励品種決定調査、実需者のニーズに応える北関東麦生産システムの確立研究
予算区分:県単、国庫委託(実用技術開発事業)
研究期間:2003〜2007年度
研究担当者:箕田豊尚、戸倉一泰、酒井和彦、斉藤孝一郎、武井由美子、上野敏昭

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