愛知県の水田輪作ダイズほ場に侵入した帰化アサガオ類の種構成の推移


[要約]
愛知県の水田輪作ダイズほ場で問題となっている帰化アサガオ類の種構成は、2004〜2008年の間に変化しつつあり、ホシアサガオが増加、アメリカアサガオが横ばいで、共に多くなり、一方マメアサガオ及びマルバルコウは減少しつつある。

[キーワード]帰化アサガオ類、種構成、水田輪作、ダイズ

[担当]愛知農総試・作物研究部・作物グループ
[代表連絡先]電話:0561-62-0085
[区分]関東東海北陸農業・関東東海農業・水田作畑作物
[分類]研究・参考

[背景・ねらい]
愛知県では1990年代後半からダイズほ場で帰化アサガオ類(以下アサガオ)が発生し、その被害が急速に拡大している。これまでに本県では、アメリカアサガオ(マルバアメリカアサガオを含む)、マメアサガオ、ホシアサガオ、マルバルコウの4種のアサガオの発生を確認している(2004年度関東東海研究成果情報)。現在、アサガオに対する有効な防除法が無く、その確立が農家から強く求められている。
 そこで、アサガオ蔓延の要因を解明し、その防除技術を確立するための知見を得るため、本県西三河地域のアサガオ発生ほ場において種構成の経時的変化を観測する。

[成果の内容・特徴]
1. 2004年に発生状況を調査した愛知県西三河地域の水田16地点について、2006年、2008年に再調査を実施した(2006年調査成果の一部は2006年度成果情報にて報告)。アサガオの発生ほ場率は、2008年にダイズ作であった11地点のうち2006年から4地点で減少がみられたが依然として高い発生状況にあり(表1)、作付体系にかかわらずアサガオは発生し続けている。
2. アメリカアサガオは、2004年から2006年にかけて2地点が加わりほぼ全域の15地点で発生が確認され、2006年から2008年にかけて3地点で消滅したが、発生地点数は依然として多い(表1図1)。
3. ホシアサガオは、2004年から2006年にかけて3地点で新たに発生し、2006年から2008年にかけて2地点で消滅したもの4地点が加わり、2008年では13地点となり確認地点数が最も多い草種となっている(表1図1)。
4. 2004年にアメリカアサガオ、ホシアサガオ両種がほ場内に発生していた5地点のうち、3地点で2008年にホシアサガオのみが観察され、また2008年の両種共存6地点ではほ場全体にホシアサガオ、アメリカアサガオは畦畔際のみでみられ(表1)、アメリカアサガオに対しホシアサガオが優占する傾向が認められる。
5. マメアサガオの発生は2006年の8地点から2008年の4地点に減少し、またマルバルコウは2004〜2006年に発生を確認した3地点のうち2008年は2地点で発生が確認されなかった(表1)。

[成果の活用面・留意点]
1. 調査地域と同様の作付体系、防除体系が行われている地域にアサガオが侵入した場合の参考事例となる。
2. 調査を行った16地点の作付体系は、10地点が水稲-コムギ-ダイズの2年3作、残りが2〜3年固定の輪作体系である。
3. 除草剤散布について、播種時の土壌処理剤は必ず実施される。また、播種前の茎葉処理剤(グリホサート剤)は沖積土壌地域では実施される場合が多い。なお、近年ベンタゾン剤散布の導入が進んでいるが、当該調査地点での使用状況は不明である。

[具体的データ]
表1 調査地点の作付体系と帰化アサガオ類の発生状況の推移
図1 調査地点におけるアメリカアサガオ及びホシアサガオの分布の変遷

[その他]
研究課題名:大豆・小麦の高品質化技術の確立
予算区分:県単
研究期間:2004〜2008年度
研究担当者:遠藤征馬、平岩確、田中雄一、野村有美

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