半促成メロンでは土壌還元消毒後の診断施肥により施肥窒素を削減できる


[要約]
施設半促成メロンでは、夏季の土壌還元消毒時に施用するふすまから、処理後およそ2ヶ月で約50%の窒素が無機化され、診断施肥(土壌診断に基づく適正窒素施肥)により施肥窒素を削減できる。

[キーワード]土壌還元消毒、半促成メロン、診断施肥、ふすま

[担当]茨城農総合セ・園研・土壌肥料研究室
[代表連絡先]電話:0299-45-8342
[区分]関東東海北陸農業・関東東海・土壌肥料
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
半促成メロンでは、つる割病対策として夏季に土壌還元消毒が実施されている。その際に施用されるふすまは1t/10a程度で、ふすまに含有される窒素は25〜30kg/10a (2.5〜3%の場合)程度となり、肥料成分として考慮する必要がある。そこで、半促成メロンの作型における土壌還元消毒後の診断施肥による施肥窒素削減技術を確立する。

[成果の内容・特徴]
1. 8月にふすま1t/10aを施用し十分にかん水した後、被覆密閉して土壌還元消毒を実施した場合(被覆期間8/11-1/11)、施用後53日に窒素のおよそ50%程度が分解される(図1)。
2. ふすまの投入により、施肥前の土壌中硝酸態窒素含量は高まる傾向にある。また、栽培期間中および収穫後の土壌中硝酸態窒素含量も同様であり、特に施肥基準どおり施肥をした場合、栽培終了後の含量は施肥前を上回る傾向がある(表1)。
3. ふすまの投入により、メロンの果実品質および収量、窒素吸収量への影響は見られない(表2
4. ふすまからの無機化窒素を考慮して施肥前に土壌中硝酸態窒素を測定し、施肥基準から差し引いて施肥を実施した場合、果実品質および収量に影響はなく施肥量を削減できる(表2)。

[成果の活用面・留意点]
1. 本試験は表層腐植質黒ボク土で供試した結果である。
2. 診断施肥の場合、施肥前に硝酸態窒素含量を測定して10aあたりの硝酸態窒素量に換算し、施肥基準の窒素成分15kgから差し引いた量を施肥した。
3. ふすまの無機化特性の解析は、ほ場埋設法により実施した。
4. 本試験に供試したほ場では、つる割病の発生はない。

[具体的データ]
図1 日平均地温の推移とふすまの窒素分解率
表1 施肥前土壌中硝酸態窒素含量および施肥窒素量
表2 施肥法の違いが果実品質および窒素吸収量に及ぼす影響

[その他]
研究課題名:半促成メロンに対する診断施肥法
予算区分:県単
研究期間:2006〜2008年度
研究担当者:内田智子、飯村強、松本英一

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