被覆肥料の植穴施肥によるセルリーの施肥削減と移植機利用による機械化


[要約]
セルリー栽培において、被覆燐硝安加里を定植時の植穴に施肥することにより、施肥窒素を20%減肥しても慣行と同等の収量が得られる。植穴施肥作業は移植機を利用することにより機械化が可能となる。

[キーワード]セルリー、被覆肥料、植穴施肥、窒素減肥、移植機、機械化

[担当]静岡農林研・生産環境部・土壌環境研究
[代表連絡先]電話:0538-36-1556
[区分]関東東海北陸農業・関東東海・土壌肥料
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
セルリー栽培は、栽培期間が長期にわたり施肥窒素量が多い。施肥窒素の利用率を高めて減肥を達成するためには、局所施肥や肥効調節型肥料を用いた施肥が有効である。そこで、被覆肥料を用いた植穴施肥、さらに、移植機を利用した植穴施肥同時移植についてあわせて検討する。

[成果の内容・特徴]
1. 肥料は生分解性の被覆肥料(被覆燐硝安加里、N-P2O5-K2O=14-12-14、リニア型70日溶出タイプ)を用い、苗の定植時に設けた植穴下方に全量基肥施肥するか、移植機を利用して植穴施肥同時移植を行う(図1)。
2. 植穴施肥により慣行とほぼ同等の生育が確保でき、赤色土では20%,灰色低地土では40%の施肥窒素量削減が可能となる(表1)。
3. 移植機を利用した植穴施肥同時移植により、慣行栽培の1/3程度に労働時間の低減が認められる(表2)。

[成果の活用面・留意点]
1. 用いた被覆肥料の窒素溶出率は25日後で44〜50%、50日後で62〜75%、75日後に72〜84%、100日後に82〜92%であった。
2. 植穴施肥の跡地土壌化学性は、慣行栽培とほぼ同等であった。
3. 植穴施肥同時移植を行う機械は現在開発途中である。ホッパへの肥料投入は、平成18年度は人力で行い、平成19年度は自動計測できるよう改良して行った。
4. 本成果は9月定植、1月収穫の冬どりの作型で得られたもので、収穫後の残存施肥窒素が春どり(12月〜翌1月の定植)の生育に及ぼす影響は未検討である。

[具体的データ]
図1 施肥設計の概要と移植機利用による植穴施肥同時移植方法の模式図
表1 収量調査結果
表2 植穴機械植えによる労働時間の試算

[その他]
研究課題名:佐鳴湖流域農耕地における施肥成分収支の実態解析
予算区分:県単
研究期間:2005〜2007年度
研究担当者:小杉徹、堀江優子、渥美和彦、神谷径明、中村仁美

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