食品廃棄物堆肥化時pHの事前推定指標としての堆肥原料の集計C/N比
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[要約] |
各食品廃棄物のpH4抽出液の炭素含有量、窒素含有量と油脂含有炭素量から算出したC/N比(集計C/N比)は、当該材料の混合堆肥化時pHとの相関関係が高いため、堆肥原料の集計C/N比で事前に堆肥化時pHを推定することで、効率的な堆肥化が可能である。 |
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[キーワード]食品廃棄物、堆肥化、C/N比、pH |
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[担当]神奈川農技セ・農業環境研究部
[代表連絡先]電話:0463-58-0333
[区分]関東東海北陸農業・関東東海・土壌肥料
[分類]研究・参考 |
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[背景・ねらい] |
各種の食品廃棄物を混合した堆肥製造では、材料配合や原料の種類によっては、pHが低下し易く、堆肥化が進行しにくい。一方、pHの過度な上昇は臭気発生を増加させる。
このため、臭気発生を抑制した効率的堆肥化のためには、堆肥化時のpHの把握、制御(pH7〜8.5程度)することが重要である。そこで、堆肥化進行に関係が深いと考えられる水溶性の資材含有炭素、窒素成分及び油脂成分と堆肥化時pHの関係を検討し、事前に堆肥化時pHを把握するための指標としての有用性を評価する。 |
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[成果の内容・特徴] |
1. |
各pH溶液で抽出される水溶性の炭素窒素成分の比(抽出性C/N比)は、全量分析で求めた資材C/N比と異なるものがあり、パン屑、米飯屑等の炭水化物系資材で高くなる傾向にある(表1)。 |
2. |
各資材の抽出液中炭素含有量と資材油脂由来の炭素含有量の合計と各資材の抽出液中窒素含有量の合計の比(集計C/N比(表2下式))を算出し、集計C/N比と各種食品廃棄物堆肥化時のpHとの関係を検討したところ、集計C/N比が高いほどpHは低く推移する傾向にあり(表2)、堆肥化混合原料の集計C/N比と各種食品廃棄物堆肥化時pHの相関係数は、21日目以降が高い値となる(表3)。 |
3. |
集計C/N比と各種食品廃棄物堆肥化時のpHの相関係数は、pH4抽出液の炭素、窒素含有率を使用した場合に高い値となり、pH4抽出集計C/N比と35日目pHで最も高い。このため、pH4集計C/N比は、一定期間経過後の堆肥化時pH推定に使用できる(表3、図1)。 |
4. |
堆肥化原料のpH4抽出液の炭素含有量、窒素含有量と油脂含有炭素量を組み合わせた指標(pH4集計C/N比)により事前に堆肥化時pHを推定し、堆肥化原料配合を決定し、堆肥化時のpHを制御(pH7〜8.5程度に)することで、効率的な堆肥化が可能である。 |
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[成果の活用面・留意点] |
1. |
本試験は、80L容通風装置付試験堆肥化装置(無加温)(TP-80 東海プラント(株))により、通気量は7L/minで、1週間毎に切り返し操作を行い、含水率は、切り返し時に50〜60%に加水調整した条件で得られた結果である。 |
2. |
事前に使用する資材のpH4抽出液の炭素含有量、窒素含有量と油脂含有炭素量の測定値を把握しておくことにより食品廃棄物混合堆肥化の際、原料配合を決定するための原料特性指標として活用が可能である。 |
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![]() [具体的データ] |
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![]() [その他] |
研究課題名:都市系食品バイオマスの資源化・リサイクル促進戦略
予算区分:実用技術
研究期間:2005〜2008年度
研究担当者:竹本稔、奥村一、武田甲
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