食品残さのペレット肥料化及びそのマニュアル化による利用技術体系
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[要約] |
食品残さから製造した堆肥を原料として、ペレット肥料(堆肥ペレット)の製造技術と作物への利用技術を明らかにし、マニュアルを作成した。そのマニュアルを活用することにより、水稲、露地葉根菜類、花きにおける食品残さの有効利用が可能である。 |
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[キーワード]食品残さ、ペレット肥料(堆肥ペレット)、水稲、露地葉根菜類、花き |
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[担当]埼玉県農総研プロ2担当、水田研生産環境担当、園芸研露地野菜担当、園芸研野菜・花担当
[代表連絡先]電話:049-285-2206
[区分]関東東海北陸農業・関東東海・土壌肥料
[分類]技術及び行政・普及 |
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[背景・ねらい] |
食品リサイクル法が施行され、食品系廃棄物の資源化・リサイクルの促進が緊急の課題となっている。
そこで、食品残さを有効利用するため、食品残さから製造した堆肥を原料として、肥料を製造する技術を確立する。さらに、その肥料を用いて、水稲、露地葉根菜類、花きにおける利用技術を確立し、利用マニュアルを作成する。
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[成果の内容・特徴] |
1. |
食品残さの分別収集により製造した堆肥(彩の国資源循環工場内A社製)を原料に、米ぬか、菌体肥料を加え発酵させたペレット肥料(県内肥料メーカーB社製特殊肥料エコペレット、成分含有量4−2.6−1.6)を開発し(図1)、その製造マニュアルを作成した。 |
2. |
ペレット肥料の窒素分解率は、埋設120日後において、灰色低地土水田では約40%、グライ土水田では約50%、褐色低地土普通畑で約60%であり、水田、畑いずれにおいても施用効果が期待できる(図2)。 |
3. |
水稲(品種:彩のかがやき)では、ペレット肥料の窒素分解率を考慮し、窒素として基肥8〜10kg/10a(ペレット肥料200〜250kg/10a)施用して栽培すると、化学肥料(基肥窒素5kg/10a)並みの玄米収量が得られる(図3)。 |
4. |
葉菜類(コマツナ及びホウレンソウ)では、窒素としてそれぞれ15及び18.8kg/10a(ペレット肥料375及び470kg/10a:ベッドと通路が同幅の畝内施肥)で化学肥料(窒素として6及び7.5kg/10a:畝内施肥)に対して80〜90%の収量が得られ、根菜類(ダイコン及びニンジン)では、窒素として、30kg/10a(ペレット肥料750kg/10a:全面施肥)で化学肥料(窒素として15及び18kg/10a)とほぼ同等の収量が得られる(図3)。 |
5. |
切り花(アスター等)及び花壇苗(ペチュニア等)では化学肥料と1:1(培養土1Lあたり窒素0.5gずつ)で混用することにより、慣行と同等の生育を得ることができる。 |
6. |
以上の結果を踏まえて、ペレット肥料の製造の方法、利用法はマニュアルに詳述されている(4)。これを利用することにより、本肥料を製造する具体的方法や留意点に関する情報が得られる。また、このマニュアルには窒素分解率の経時変化、作物毎の生育期間、作物毎の窒素施用量といったデータ等が明示されており、ペレット肥料の特性に基づいた利用が可能である。 |
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[成果の活用面・留意点] |
1. |
このペレット肥料は「彩の国食品系エコ堆肥」(食品系エコペレット)の名称で2008年6月から埼玉県内JAで一般販売されている。この肥料で栽培した米は、食を通じた資源循環貢献ブランド「彩のかがやきエコ循環米」として販売されている。 |
2. |
このペレット肥料は、堆肥としての機能も期待できるとともに、窒素分解率に基づく施用により、特別栽培等における利用や化学肥料と併用した安定生産が可能である。 |
3. |
マニュアルは、埼玉県農林総合研究センターに問い合わせて、入手可能である。 |
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![]() [具体的データ] |
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![]() [その他] |
研究課題名:都市系食品バイオマスの資源化・リサイクル促進戦略
予算区分:実用技術
研究期間:2005〜2008年度
研究担当者:山ア晴民、相崎万裕美、石川貴之、鎌田淳、渡辺俊朗、新井登
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