ドリフト低減ノズル及び遮へい作物による農薬飛散低減と大豆病害虫防除効果


[要約]
ブームスプレーヤを用いた大豆の薬剤散布において、ドリフト低減ノズルを用い、「ゴールドソルゴー」を遮へい作物として栽培すると、防除効果はほぼ同等で薬剤の飛散量を慣行ノズル(遮へい作物なし)の10分の1以下に低減できる。

[キーワード]ダイズ、ドリフト低減ノズル、遮へい作物、ソルゴー、ブームスプレーヤ

[担当]茨城農総セ農研・病虫研究室、経営技術研究室、環境・土壌研究室
[代表連絡先]電話:029-239-7213
[区分]関東東海北陸農業・関東東海・病害虫(虫害)
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
農作物の農薬残留基準値にポジティブリスト制が導入され、より一層、農薬飛散防止のための技術開発が求められている。そこで、大豆の病害虫防除において、ブームスプレーヤを用いた薬剤散布時のドリフト低減ノズルと遮へい作物の飛散低減効果、ならびに病害虫防除効果を検討する。

[成果の内容・特徴]
1. ドリフト低減ノズル(以下、低減ノズル)はY社のN-ES-8、慣行ノズルはY社のNN-D-6を用い、乗用管理機型ブームスプレーヤを使用して、大豆に薬剤散布を行った。薬液散布量は200L/10a、散布圧力は1.5MPa、ブーム高は地上約120cmとした。
2. 慣行ノズルによる散布では、風下5mまでの飛散量が多いが、低減ノズルを使用すると、風下5mまでの飛散量は慣行ノズルと比較して4分の1から10分の1程度に低減できる(図1)。
3. 遮へい作物は、ソルゴー(品種「ゴールドソルゴー」など)を用い、施肥量は大豆と同量、播種量は約3g/mとし、大豆播種当日に大豆と平行に条間60cmの2条播きとする。
4. 「ゴールドソルゴー」を遮へい作物として栽培すると、遮へい作物がない場合と比較して飛散量を2分の1程度に低減できる(図1)。
5. 低減ノズルを用い、「ゴールドソルゴー」を遮へい作物として栽培すると、風下側5mまでの飛散量は、慣行ノズル(遮へい作物なし)の10分の1以下に低減できる(図1)。
6. 低減ノズル使用時の大豆病害虫の防除効果は、慣行ノズルとほぼ同等である(表1表2)。

[成果の活用面・留意点]
1. 本成果を活用する際は、散布時の風向(風下側の状況や作業方向)に注意し、風のない時間帯に防除を実施する等、基本事項を励行する。

[具体的データ]
図1 大豆防除におけるドリフト低減ノズル及び遮へい作物の農薬飛散低減効果
表1 ドリフト低減ノズルの大豆病害虫に対する防除効果(2007)
表2 ドリフト低減ノズルの大豆病害虫に対する防除効果(2008)

[その他]
研究課題名:農薬ドリフト事故防止技術の確立
予算区分:国補
研究期間:2006〜2008年度
研究担当者:西宮智美、大橋真理子、皆川 博、鈴木雄一、渡邊 健

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